FUTBOL MUNDIAL #621●特集1:スロバキア・サッカー

●特集1:スロバキア・サッカー
分離独立から12年経ったスロバキアのサッカー事情をレポート。


1993年旧チェコスロバキアの村、シドニー(SIDONIE)は大きな転機を迎えました
村の中央を流れる小川が分離独立して誕生するチェコスロバキアの国境に指定されたからです
シドニーは独立度最初の4年はスロバキア、97年からはチェコに帰属する事になりました
600人の住人にとっては経済的にも政治的にもチェコである方がメリットが大きい様子です
サッカー界でもそれは同じ
スロバキア代表監督のドゥサン・ガリスも認めています




dusan galis
「問題は色々あるんですよ。分離独立前チェコスロバキアのサッカーはプラハを拠点にしていました。ですから独立後はブラチスラバにサッカー協会を作る所からスタートしなければいけなかったんです。本当に大変でした。長い伝統やしっかりとした設備がある方が楽ですからねぇ。でもスロバキアにはそういう物が一切無かったんです」




チェコスロバキア時代は輝かしい実績を誇りました
ユーロ76の決勝戦ではPK戦の末に旧西ドイツを下して優勝
先制ゴールをあげたのがヤン・シュベリクでした
ベオグラードでの決勝のピッチに立ったスロバキア人は彼を含めて9人居ました
しかし話題を攫ったのはPK戦でチップキックによるゴールを決めたチェコ人のアントニン・パネンカ
スロバキアの貢献は見逃されがちでした




jan svehlik
「ユーロ76での優勝はチェコスロバキア全体で勝ち取ったものだと理解して貰いたいんです。93年以降チェコは自分達の手柄だと思っている様ですが、そういう考えには賛成出来ません。チェコスロバキアのサッカー史に残る栄光として刻まれるべき優勝です。私達の方はスロバキア人が多かったからスロバキアの優勝なんて一言も言っていませんしね」




現在スロバキアで最も人気のあるスポーツはサッカーでは無くアイスホッケー
2002年の世界選手権では優勝も飾っています
この事でアイスホッケ−熱は一気に高まりました
サッカーでも同じように国際舞台に立てれば人気も盛り上がるはずです
それが叶って始めてチェコの背中が見えてくるでしょう




jan svehlik
チェコはユーロの様な注目度の高い大会に出場しているので、選手達もそこでアピールしてヨーロッパのビッグクラブへと移籍しています。スロバキアはまだそのチャンスを掴めないので、選手達は強豪クラブに移籍出来ずにキャリアアップにも繋がっていません。その点がチェコの選手との違いですね。チェコスロバキアのサッカーのレベルに差があるのはそのせいなのです」




それでもこの所力を付けているスロバキアは、ポルトガル、ロシアと同じ組だったワールドカップ予選ではグループトップに立った事もありました
最終的にはポルトガルに次ぐ2位となり、スペインとのプレーオフに臨みます
しかしマドリードでのファーストレグに1対5と大敗
及び腰のディフェンスはスペインの攻撃に歯が立たず、微妙な判定にも泣かされました
ブラチスラバでのセカンドレグは、ただプライドの為に戦う事になってしまいました



メンバーを見ればプレーオフに回った事自体が不思議なスペイン
スロバキアホームのセカンドレグでさえ前半からスペインが圧倒します
ラウールはチャンスを逃しました
スロバキアは0対0で前半を折り返してラッキーだったでしょう



後半はスロバキアもピッチコンディションの悪さを逆に活かして、スペインのゴールキーパーイケル・カシージャスの守るゴールに襲いかかります
ルーズボールをフィリップ・ホロシュコがコントロールしてゴールをあげました
しかしスペインはフェルナンド・モリエンテスがクロスを上げ、バレンシア所属のダビド・ビジャ (David VILLA)が代表初ゴール


試合は1対1の引き分けでした
それでも中心選手のマレク・ミンタルを欠いていたスロバキアとしてはまずまずの結果です




dusan galis
「大分修正出来ましたけど、ワールドカップに届かなくてガッカリです。スロバキアにとってワールドカップ出場は大きいですからねぇ。やるべき事がまだ沢山あるという事です。ヨーロッパや世界中で競争が激しくなって、経済的な面を考えればイングランド、フランス、スペイン、イタリア等ライバルに肩を並べるのは大変ですけどね」




スロバキアの小ささはガリス監督も良く分かっています
人口は500万人でマドリードの人口にすら及びません
万全の状態では無いスタジアムを見ても経済に問題があるのが分かります
監督自ら政府に対してサポートを求めています
ただ代表チームは若手中心で、クラブレベルでもアルトメディアチャンピオンズリーグで頑張っている等明るい材料もあります




dusan galis
「この流れをキープしていく必要がありますね。国中の監督や選手が努力し続けなければいけません。その中に未来を託せる様な選手も沢山いるはずです。あとはナショナルスタジアムの建設もお願いしたいですね。今あるスタジアムは国際試合の会場としての条件を満たしていないものばかりで、明らかにマイナス材料です。レベルアップにはそこを改善しなければいけません」




かつては共産主義体制の象徴だったブラチスラバも変わりつつあります
趣のある旧市街地には観光客が訪れています
市民は世界に向けて政府にもっとアピールして貰いたいと考えています
それには隣国のケースが参考になるでしょう
チェコが2006年のワールドカップ出場を決めた事でプラハ知名度はさらに上がります
ブラチスラバ、そしてスロバキアもそれに続きたい所です




11月のFIFAランキングでスロバキアフィンランドと並んで45位でした
最も順位を上げたのがベラルーシ、年間最優秀選手になったアーセナル所属のアリアクサンドル・フレブ(Aliaksandr Hleb )の活躍もあり11ランクアップの59位です
チェコはオランダを抜いてブラジルに次ぐ2位に浮上しました




スペイン、ドイツへ大きく前進
http://jp.uefa.com/competitions/WorldCup/news/Kind=1/newsId=366369.html




集中力維持を訴えるカシージャス
http://jp.uefa.com/competitions/WorldCup/news/Kind=1/newsId=366574.html



プレーオフ - 2005年 11月 16日 20:15 (現地時間) - テヘルネ・ポレ - ブラチスラバ
合計得点: 2 - 6
スロバキア 1 - 1 スペイン
50' ホロシュコ 70' ダビド・ビジャ

試合プレビュー
奇跡を信じるスロバキア
http://jp.uefa.com/competitions/WorldCup/FixturesResults/Round=2236/match=82035/Report=PR.html


FUTBOL MUNDIAL #575●特集4:マレク・ミンタル
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20050204




FUTBOL MUNDIAL #590●特集4 ボヘミアンズ・プラハ(アントニン・パネンカの所属していたチーム)
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20050515




FUTBOL MUNDIAL #596●特集3:レッドスター・スタジアム(76年ユーロ決勝の会場)
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20050625




スロバキアサッカー協会
http://www.futbalsfz.sk/




スロバキア
http://jp.uefa.com/footballEurope/countries/country=SVK/Association=58836/index.html




Corgoň League 2004-2005
after 36th round

Rank: Team: Matches: Wins: Draws: Losses: Score: Points:
1 Artmedia 36 20 12 4 64 : 28 72
2 Žilina 36 19 8 9 73 : 34 65
3 B.Bystrica 36 13 13 10 45 : 38 52
4 Dubnica 36 13 12 11 42 : 43 51
5 Trnava 36 12 10 14 39 : 37 46
6 Púchov 36 12 10 14 31 : 43 46
7 Ružomberok 36 11 10 15 50 : 57 43
8 Trenčín 36 12 7 17 36 : 50 43
9 Inter 36 9 11 16 37 : 60 38
10 R.Sobota 36 7 11 18 30 : 57 32

http://www.slovak-football.sk/open.php?win=table&id_kola=1181&id_liga=2&id_rocnik=6&kolo=36

http://www.slovak-football.sk/index.php?menu=competitions







アルトメディア
http://www.fcartmedia.sk/
http://jp.uefa.com/footballEurope/Club=64519/domestic.html






Jスポーツ
http://www.jsports.co.jp/program/info/9768.html