FUTBOL MUNDIAL #679●特集5:コロコロ

●特集5:コロコロ
スター選手を欠いて戦いに臨むチリのコロコロを特集。

ここ数年目立った成果を残していないチリ
2002年ワールドカップ南米予選では最下位に転落する等、最悪も経験しました
唯一の救いはエキサイティングな国内リーグ
特に名門クラブの復活はチリサッカー界に明るいニュースです



1925年に創設されたコロコロ
チリの元指導者でマプチ(mapuche)族の英雄の名を付けられました
勇敢で聡明だったコロコロは1553年にトゥカペルの戦い( Battle of Tucapel)でスペイン軍に勝利を収めています
チリサッカー史上最多となる25回の優勝を誇るコロコロ


昨年のクリスマス前に後期リーグ優勝を決めタイトルを保持
ただクラブ内では監督を始めとするスタッフが報酬の問題から辞任を迫られています



claudio borghi
「昨年6月までに我々は3名の選手を手放しました。代わりの選手は獲得しましたが、格下の選手ばかりです。ここにきてマティアス・フェルナンデス(Matias Fernandez )やスアソ(Humberto Suazo)も手放しています。チームとしてのバランスは取れていますが、今のままではとてもコパリベルタドーレスを戦えませんね」



コロコロは慌しく2006年の幕を閉じました
コパスダメリカーナでは決勝進出を果たし、メキシコのパチューカ(Pachuca Club de Futbol )と戦いました

メキシコでの第一戦は1対1のドロー
コロコロが優勝すれば92年以来の国際タイトルでした
ホームでの第2戦は大会得点王のウンベルト・スアソ(Humberto Suazo)のゴールでコロコロが先制
しかしタイトルには届きませんでした


後半開始早々、ガブリエル・カバジェロ(Gabriel Caballero )が同点ゴール
そしてクリスチャン・ヒメネス(Christian Gimenez)のゴールが決まり、パチューカが合計3対2で優勝しました



コロコロの全盛期だった91年とは対照的な結果でした
この年コロコロはパラグアイオリンピア(Club Olimpia)を合計3対0で下し、チリサッカー史上初となるコパリベルタドーレス優勝を果たします
この時はホームでの第2戦で3ゴールをあげ逆転しました
ルイス・ペレスが2ゴールをあげています



luis perez
「今でも素晴らしい思い出ですよ。個人的には2試合目の方が記憶に残っていますね。チリに対する期待は高まっていました。観戦チケットは売り切れで、殆どの国民はテレビかラジオで試合の行方を追っていました。あの時のファンの期待は最近のコロコロに対する期待とよく似ていますね。ラッキーにも私達は試合に勝ってタイトルを手にする事が出来ました。現在に至っても、あれはコロコロのクラブ史上最も大きな偉業だと言えるでしょう」



現在ペレスはコロコロのユースアカデミーでコーチを務めています
4年前のクラブの経営危機以来、ペレスの責任は重大です
この時は、練習場に撒く水も無く電気も止められ、選手には何ヶ月も報酬が支払われていない状況でした
有難い事にその問題も解決し、2005年にはクラブは有限会社化され、サンチャゴの株式市場にも上場しています



luis perez
「財政面においてクラブは苦しい時期を過ごしました。その影響で我々はユースチームに力を入れざるをえませんでした。ラッキーにもコロコロのユースチームはしっかり運営されている事で知られており、沢山の選手が優秀な成績でトップチームへと昇格しています。それは今のコロコロを見て貰えば明らかですが、7割から8割のコロコロの選手は地元出身の選手です。コロコロは経営破綻の危機に瀕したかもしれませんが、そのお陰で若手選手に活躍のチャンスが与えられたのです」




昨年最も活躍したのはマティアス・フェルナンデス(Matias Fernandez )でした
フリーキックスペシャリスト、フェルナンデス
しかしスペインのビジャレアルへの移籍が決定しています


昨年12月に2006年の南米最優秀選手に選ばれたフェルナンデス
チリ人としてはエリアス・フィゲロア(Elias Figueroa)とマルセロ・サラス(Marcelo Salas)に次ぐ3人目の快挙でした
フェルナンデスはフィゲロアやサラスとは異なり、国内でプレーしてこの賞を獲得しました
イヴァン・サモラノ(Ivan Zamorano)以来、チリ最高の選手と言われるフェルナンデス
そのスピード、テクニック、そしてフリーキックはファンを魅了してやみません


素顔はシャイなフェルナンデス
そこで彼の元監督で将来の義理の父親と噂されるボルジ監督に聞きました



claudio borghi
マティアス・フェルナンデスはパーフェクトな選手です。少し冗談も入っていますがねぇ。何故そんな事を言ったかというと私にはマティアスと同じ年の娘がいて二人に結婚してもらいたいと思っているからです。それ位マティアスは良い青年なのです。人間的にも真面目で努力家で信じられない位謙虚です。サッカー選手としても素晴らしい才能を持ち合わせています。彼はこれからまだまだ成長出来る選手だと私は信じています」




普通トレーニングセッションの取材は、決してエキサイティングなものではありませんがコロコロの場合は例外です
警備は厳重ですが一人の女性ファンがフェルナンデスに接近。こうなると警備員にはもう何も出来ません
何百人ものファンが彼女に続き、結局この日の練習はこれで終了。これも成功の代償です



claudio borghi
「プライバシーが無くなりますから生活がし辛くなりますね。何処へ行っても選手は注目の的となります。こうなってしまうと、もうコントロール不能です。熱狂的なファンにも2つの側面が合って、時には喜ばしいものですが時には不快にさせられるものですよ」



昨年7月、ウニベシュタデ・チリ(Universidad de Chile)との2試合に渡る決勝を、PK戦の末勝ち取って、チリ前期リーグ優勝を果たしたコロコロ
クラブにとっては2002年シーズン以来のタイトルでした
そして2003年のコブレロア(Club de Deportes Cobreloa)以来となる前期後期リーグ制覇も成し遂げ、真の復活を印象づけています
成功の最大の立役者は15ゴールをあげたフェルナンデス
しかし彼が去った今新たな選手が必要です



claudio borghi
「国内で探すつもりです。でも彼の代わりになる様な選手は居ないでしょうね。コロコロでプレーする事は楽ではありません。人気の高いクラブですからプレッシャーも相当です。不可能とは分かっていますが、何とか選手を手放さずにいきたいものですね」




フェルナンデスは失いましたが換わりに獲得した870万ユーロの大金は、当分の間コロコロを経営破綻の危機から救うはずです






Club Social y Deportivo Colo-Colo
http://www.colocolo.cl/
http://es.wikipedia.org/wiki/Colo-Colo




Claudio Borghi
http://en.wikipedia.org/wiki/Claudio_Borghi



Matias Fernandez
http://en.wikipedia.org/wiki/Mat%C3%ADas_Fern%C3%A1ndez



Humberto Suazo
http://en.wikipedia.org/wiki/Humberto_Suazo




Colo Colo (mapuche)
http://es.wikipedia.org/wiki/Colo_Colo_%28mapuche%29



Battle of Tucapel
http://en.wikipedia.org/wiki/Battle_of_Tucape






Club Olimpia
http://es.wikipedia.org/wiki/Club_Olimpia



Corporacion de Futbol Profesional de la Universidad de Chile
http://en.wikipedia.org/wiki/Universidad_de_Chile_%28football_club%29



Club de Deportes Cobreloa
http://es.wikipedia.org/wiki/Club_de_Deportes_Cobreloa




South American Footballer of the Year
http://en.wikipedia.org/wiki/South_American_Footballer_of_the_Year



Elias Figueroa
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B2%E3%83%AD%E3%82%A2



Marcelo Salas
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%AD%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%83%A9%E3%82%B9





FUTBOL MUNDIAL #676●特集1:アウダックス・イタリアーノ
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20061228