FUTBOL MUNDIAL #725●特集3：タウイチ・アカデミー

●特集3：タウイチ・アカデミー
現在も優秀な人材を育成し続けている、ボリビアのタウイチ・アカデミー。

凡そ３０年前の１９７８年に創設されたボリビアのタウイチ・サッカー・アカデミー（Academia Tahuichi Aguilera）
何千人もの貧しい子供達により良い生活を提供してきました
ローリーの愛称で知られるローランド・アギレラ（Rolando Aguilera Pareja）が二人の息子にサッカーの基本を教える為に、自宅の庭でスタートさせたのが始まりです

ローリーには大きなビジョンがありました
それは無料でサッカーの指導と教育を提供する事
そしてボリビアの無防備な子供達をドラッグやアルコール、犯罪の世界から遠ざける事でした
この一人の人物の献身と情熱、そして疲れを知らない活力がタウイチ・アカデミーを世界で一番有名なアカデミーへと成長させたのです

残念ながらローリーは２００２年１２月にこの世を去りましたが、彼の３人の子供達ローランドジュニア、アーウィン、タニアが父親の意思をしっかり受け継いでいます

この前アカデミーを訪れたのは９９年の事でした
あれから８年アカデミーはどうなった事でしょうか
忙しさは以前と変わりなさそうですが、当時から変わった点が幾つかあります
それはローリーが何時も夢見ていた事です

rolando aguilera
「２０００年までこのアカデミーには男子しか入ることが出来ませんでした。でもこのままではいけないと考え、性別に関係無く誰でもアカデミーに入れる様に規則を変更しました。ですから今では女子にも男子と同じチャンスを提供出来る様になっています」

ボリビアの女子サッカーは長年差別の対象となってきました
１０代の少女は同姓愛者だと勘違いされる事を恐れサッカーを敬遠してきたのです
ボリビアでは既に結婚して子供が居る成人女性しかサッカーをプレーしませんでした
そんな中タイウチ・アカデミーはボリビアの女子サッカーの発展に向けて立ち上がったのです

rolando aguilera
「アカデミーが女子に門戸を開放した最初の月に若いモデル達がサッカーを始めました。そして誰もがサッカーをやりはじめたのです。女子サッカーは突如禁止されたスポーツからお洒落なスポーツへと変身しました。驚くべき変化でしたねぇ。このアカデミーにとっても前向きな変化でした。アカデミーが女子にも門戸を開放した事で少女達も少年と同様のチャンスを手に入れる事が出来る様になりました。そして女子の方が男子よりもサッカーに対する情熱が強かったりするんです」

タイウチ・アカデミーはマルコ・エチェベリ（MARCO ANTONIO ETCHEVERRY）、エルウィン・サンチェス（ERWIN SANCHEZ）といったボリビア代表となって大きな夢を実現した選手を数多く生み出してきました

laura mendez
「私の両親はとても協力的です。サッカーが大好きです。中には娘がサッカーをするという事を認めてくれない親も居ますが、私の両親は喜んでくれて協力を惜しみません」

paola melgar
「父も母も私を応援してくれています。でも母の方がより協力的ですね。何時もサッカーをプレーし続けるよう励ましてくれます。私が怪我をしたり誰かを必要としている時、母は何時も私の傍に居てくれます。私の両親も私の姉妹も何時も私の味方です。女子サッカー選手にとって家族の協力は必要不可欠です」

アカデミーは学校教育も提供しています
最も人気のある科目は英語のクラスです
我々のカメラが入るという事で今回この授業には男子の姿も見られますが、普段は女子の姿しか見当たらないそうです

sarah aguilera gomez
「これまでサッカーは男子の為だけのスポーツだと言われてきました。それが女子の心の中に自分達だってという思いを抱かせたのでしょう。だからこのアカデミーが女子に門戸を開放した時、大勢の少女達がアカデミーに入学したんです。彼女達は決して授業をサボったりしません。そして全てに全力を注ぎ込みます。何故かって？それは自己改善の為です。彼女達は常に前向きに自分達を成長させたいと考え、努力しているんです」

英語の授業が行われている隣の部屋ではコーチ陣がミーティングを行っています
ジョンボル・フェルナンデスはこのアカデミーに居る２２名のコーチの一人です
５年前までジャンボルは靴磨きで貧しい生計をたてていました
奨学金制度で大学を卒業したばかりのジャンボルはサッカー選手としてもコーチとしても優秀な人材です
アカデミー生の僅か３％しかプロサッカー選手への道は進めませんが、ジャンボルの場合コーチとしての選択肢が残されています

jhombol fernandez
「クラブと契約出来るまで練習を続けるつもりです。何処かのクラブでプレーする様になってもここへは時々戻ってきて、皆の成長ぶりを確認したいと思っています。私の夢はボリビアあるいは国外のクラブでプレーする事です。でももう一つの夢はこのアカデミーで少年少女の指導をする事です」

rolando aguilera
「これがタウイチの夢です。３０００人もの子供達の希望を胸にここへやってくるのも、その夢を実現させたいからなんです。全員が夢を実現出来る訳ではありませんが、皆より良い市民として生活する術を学んで、ここを卒業していきます。彼らは皆良い人間へと成長していきます。彼らがドラッグの世界に溺れる事が無い様、そして社会に何か良いものを返す事が出来る様、タウイチは子供達を指導しています。それが私達の誇りでもあるのです」

タウイチが本拠を構えるサンタ・クルス（Santa Cruz）はボリビアで最も重要な都市の一つです
この地域はボリビアで最も経済が成長している地域で主に農作物と天然ガスを輸出しています
しかし貧困やドラッグの問題は無くなりません
また小さい頃から労働に借り出される事から栄養不良に苦しむ子供も少なくないのです
タウイチ・アカデミーは幾つかの問題の解決策を与えています

rolando aguilera
「世界中に大豆を輸出しているサンタ・クルスに大豆が無いというのはどういう事なのでしょう。大豆はタンパク質を豊富に含んでいて世界中で何百万人もの人が摂取しています。でもここサンタクルスでは私達の子供は大豆がどんな食べ物かすら知らないんです。この街の人達は大豆の料理の仕方だって知りません」

大豆は肉よりも安く栄養価も肉に劣りません
アカデミーでは子供達に豆乳や炒った大豆を与えています
子供達の食生活を変える事は簡単ではありませんが、今では皆大豆が大好物
大豆は彼らの食生活の中心になりました
大豆の消費が増えた為アカデミーはサッカーピッチに一つを潰して大豆畑にしました

rolando aguilera
「私達はここサンタクルスの食習慣を変える事に成功しました。これも私達の小さな貢献の一つと言えるでしょう。サンタ・クルスの人々が大豆を食べる様になったんです。アカデミーはこの国の人間の成長にも貢献しているのです」

アカデミーの料理人？
「ほら美味しそうでしょう。ここタウイチではこれを子供達に食べさせているんだよ」

大豆、教育、無料サッカー教室
全て大切な事ですがタウイチアカデミーが何千人もの子供達に与えている最大の貢献はより良い未来への希望です
誰でもどんな事でも達成出来ると伝えています
どんなに貧しい子供だってより良い生活を手に入れる事が出来るはずです

rolando aguilera
「どんなストリートチルドレンにも我々のアカデミーで秩序、責任、規律、やる気、そして計画性を学び、マルコ・エチェベリやエルウィン・サンチェス、ナチョ・ガルシア（Ronald Garcia Nacho）の様なボリビアのスター選手になれるチャンスがあるんです。勿論サッカー選手だけではありません。彼らには技師や医者、政治家になれるチャンスだってあるんです。サッカーを切っ掛けに彼らは奨学金制度で大学へ進学する事が出来るんです。サッカーとは素晴らしいものですね」

rolando aguilera
「皆おいで。これがタウイチの夢です。これがタウイチの夢なんです。さあ皆もっと大きな声で」

（子供１０人程がタウイチコール）

rolando aguilera
「これがタウイチの夢です。さー大きな声で！」

Academia Tahuichi Aguilera - Sitio Oficial de la Academia de la Academia de Futbol Tahuichi Aguilera
http://www.tahuichi.com.bo/
http://en.wikipedia.org/wiki/Tahuichi_Academy

Tahuichi Way
http://www.tahuichi.com/

Marco Antonio Etcheverry Vargas
http://en.wikipedia.org/wiki/Marco_Etcheverry

Erwin Sanchez Freking
http://en.wikipedia.org/wiki/Erwin_S%C3%A1nchez

Ronald Garcia Nacho
http://en.wikipedia.org/wiki/Ronald_Garc%C3%ADa_Nacho

タイウチ・アカデミーの殿堂入りの所に石川康さんがいるなぁ