FUTBOL MUNDIAL #731●特集4：スーダンサッカー事情
アフリカ大陸最大の国スーダン（Sudan）の首都ハルツーム(Khartoum)へようこそ
ここハルツームで合流したナイル川の支流２本がナイル川の本流となってエジプトへ流れ込んでいます
ハルツームは人口８００万人の都市です
アフリカサッカー連盟がハルトゥームに設立されてから５０年以上が経ちました
今や復活したスーダンはアフリカ大陸で２番目のサッカー大国です
政治経済の混乱から立ち直り石油大国として復興しつつあるスーダン
スポーツも盛んです
スーダンサッカー復興の立役者はアルメルリーク（Al-Merrikh）とアルヒラル（Al-Hilal）という、どちらも国内外で成功を収めた２つのクラブです
アルヒラルのブラジル人監督リカルド・ヘロンに聞きます
ricardo heron
「まず最初に気づいた事はサッカーを学ぼうとする選手達の真剣な姿勢です。彼らはサッカーはプレー出来ても勝てるサッカーのプレーの仕方を知りませんでした。彼らの正しいサッカーを学びたいという思いを叶えてあげられるかどうかは全て私にかかっていました。選手達の熱意はこれまで私が指導してきたどのチームよりも勝っています。テクニックと戦術は最高とは呼べないかもしれませんが、チームに貢献する為にもっとサッカーの技術を磨きたいという彼らの熱意には圧倒されます。そんな彼らの姿勢がスーダンサッカーを成功へと導いているのです」
スーダン代表のメンバーはアルヒラルかアルメルリークのいずれかのクラブでプレーしている選手です
両チームは今シーズンのクライマックスといえるカップ戦の決勝で激突しました
リーグ５連覇を達成したアルヒラルでしたが、このカップ戦を制したのはアルメンリークでした
この試合唯一のゴールを決めたのがナイジェリア出身のエンデュランス・イダホー（Endurance Idahor）です
アムル・ザキは３０年前スーダンサッカー全盛期に活躍した選手です
当時のスーダンはアフリカ大陸で恐れられる存在であり、ザキは代表キャプテンとして大きな成功を経験しました
かつてアフリカの強豪と呼ばれたスーダン
５７年第一回アフリカネーションズカップもスーダンで開催されました
２年後の大会では決勝まで進みましたがライバルエジプトに敗れています
６３年までにヨーロッパの植民地だったアフリカの国が次々と独立
これらの国々の参加により大会の規模も拡大されました
ガーナ大会では見事な活躍を見せたスーダン
エジプトと２対２で引き分けた後、ナイジェリアには４対０で快勝し決勝に進出
決勝では開催国のガーナに惜しくも敗れましたが７０年大会では見事リベンジを果たしています
amr zaki
「グループリーグ終了後はグループＢの勝者がグループＡ２位のチームと、グループＡの勝者がグループＢ２位のチームと戦うというルールになっていました。そしてスーダンはグループ２位でエジプトとコートジボアールはガーナと対戦しました。最高のシチュエーションになりましたねぇ。スーダンサッカー史上初めてスーダンがエジプトに２対１で勝利を収めたのです。そして決勝進出を決めました。もう一方の試合ではガーナがコートジボワールに勝ちました。つまりどちらのグループも２位のチームが首位のチームを破った事になります。決勝には絶対に負けないという気持ちで臨みました。結局スーダンがこの試合唯一のゴールを決めて、見事アフリカチャンピオンの座を勝ち取る事がが出来たのです」
しかしスーダンにとってはこれが最初で最後のアフリカチャンピオンの座になりました
７６年以降スーダンはアフリカネーションズカップの出場権すら逃し続けていたのです
amr zaki
「当時はアフリカネーションズカップ優勝がどれ程凄い事なのか全く分かっていませんでした。まさか３０年以上経った今も、あれがスーダンにとって唯一のアフリカネーションズカップ優勝になるとは想像もしていませんでしたねぇ」
３０年もの間スーダンの選手達は才能がありながら国際レベルでは力を発揮出来ずにきました
７０年代から８０年代にかけて景気が低迷し、国家の規模も縮小したからです
西ヨーロッパ程の面積を持つスーダンですがインフラは整っていません
スーダンサッカー協会会長のケムマル・シェダッドに聞きます
kemmal shedad
「試合を運営するにあたってスーダンの国のサイズはデメリットになっています。スーダンのサッカーは個々の都市によって運営されています。どの街も独自のリーグを運営しているのです。これは都市間の移動が困難だという理由からです。スーダン南部から北部への航空券はとても高額で、移動時間もかなりかかります。スーダンの様な大きな国では道路網もそれ程発達していません」
しかし現在はアル・ヒラルやアル・メルリークの様な成功しているクラブが存在し、代表チームもさらに上のレベルで戦える様になってきています
先頃アルメルリークのオットーフィスター（Otto Pfister）監督がカメルーン代表監督に就任し、後任にモハマド・アブドゥーラ監督が就任しました
mohammad abdulla
「私は代表チームはクラブチームの成功に大きく貢献しているし、その逆も然りだと信じています。２００４年以降スーダン代表チームはアルヒラルとアルメルリークでプレーする同じメンバーで４１試合の代表戦を戦ってきました。選手は代表レベルのトレーニングを受ける事でクラブチームは大きな恩恵を被っています。と同時に両クラブは優秀な監督によって指揮されていますから、代表チームも恩恵を被っているのです」
今回はアフリカネーションズカップ予選を難無く突破したスーダン
予選最終戦はハルツームでチュニジアと対戦しました
チュニジアはスーダンにとって強敵です
しかし今回はスーダンが３対２で接戦を制しています
mohammad abdulla
「久しぶりに素晴らしい試合でした。スーダン国民もチームをずっと支持してくれました。選手一人一人がしっかり自分の役割を果たしてくれたのでグループ首位になる事が出来たのです。中にはモーリシャス（Republic of Mauritius）とセーシェル（Repiblik Sesel）が弱かったからスーダンが首位が立つ事が出来たと言う人もいます。でも今のスーダンはどんなに強い対戦相手でも対等に戦う事が出来ます。これも長期的な計画と投資の結果です。成績も申し分ありません。カメルーンとも戦いましたし、リビアにも勝っています。強豪相手にも何度も勝っているのです」
自身たっぷりでガーナでの本大会に挑むスーダン
メジャー大会への出場は３２年ぶりです
同じグループにはカメルーンやザンビア、長年のライバル、エジプトがいますが今のスーダンには勢いがあります
再びアフリカの頂点に立つ日を目指します
Sudan
http://www.fifa.com/associations/association=sud/index.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Sudan_national_football_team
Al-Hilal (Omdurman)
http://www.hilalalsudan.net/
http://en.wikipedia.org/wiki/Al-Hilal_%28Omdurman%29
Al-Merrikh
http://www.almerrikh.com/
http://en.wikipedia.org/wiki/Al-Merrikh
Endurance Idahor
http://en.wikipedia.org/wiki/Endurance_Idahor
Otto Pfister
http://en.wikipedia.org/wiki/Otto_Pfister
アフリカネイションズカップ2008
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%83%8D%E3%82%A4%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%82%BA%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%972008
Sudanese League
Team MP W D L GF GA Pts
Al Hilal 22 21 1 0 70 6 64
Al Merreikh 22 19 1 2 65 12 58
Al Mawrada 22 11 6 5 27 17 39
Al Ahli 22 10 3 9 30 28 33
Hay al Arab 22 7 7 8 18 21 28
Khartoum-3 22 8 3 11 23 34 27
Al Amal 22 5 6 11 22 31 21
Al Ittihad 22 5 6 11 18 36 21
Al Hilal Port Sudan 22 5 6 11 14 33 21
Jazeerat 22 4 8 10 9 35 20
Al Merghani 22 3 8 11 11 30 17
Al Merreikh Al Thagher 22 3 7 12 10 34 16
http://www.fifa.com/associations/association=sud/nationalleague/standings.html
スーダンのサッカー事情
http://blog.goo.ne.jp/mundolatina/e/74b786a2cc745c22bf357f278106d890
FUTBOL MUNDIAL #668●特集1：セーシェル代表
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20061103
FUTBOL MUNDIAL #667●特集5：マリ代表
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20061101
FUTBOL MUNDIAL #654●特集2：南アフリカ
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20060728
FUTBOL MUNDIAL #612●特集2：トーゴ代表
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20051009
FUTBOL MUNDIAL #610●特集1：ガーナ代表
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20050926
FUTBOL MUNDIAL #597●特集1：カーボヴェルデ
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20050626
FUTBOL MUNDIAL #589●特集3：ザンビア代表
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20050509
