FUTBOL MUNDIAL #761●特集2:ガイアナ代表

1902年にサッカー協会が設立されてから結果を出せずにきたガイアナ（Guyana）
しかしかつて国技とまで称されたクリケットを抑え、サッカーが国の誇りへと変わりつつあります
ガイアナのジャマール・シャバズ監督です

jamaal shabazz
「ガイアナのスポーツ界だけでなく、国家としての歴史的瞬間となりました。これまでスタジアムはクリケットが行われる為だけのものでしたが、今回政府はここでサッカーの練習を行う事を認める重大な決定を下しました。３年前には神への冒涜と考えられていた事が許されたのです。おかげで選手も国に対するプライドを持つ様になりました。これまでは練習するグラウンドもありませんでした。何の設備も持たず、練習する為にわざわざトリニダード・トバゴまで行かなければならない状態で、どうやって国に対するプライドを持てば良いのか選手にだって分かるはずがありません。でもそんな状況が良い方向へと変わり始めたのです。今では選手達の間にも自分達の国の為に戦うという、国に対しての誇りが生まれてきています」

地理的には南米に位置していますが、サッカーに関しては北中米カリブサッカー連盟に属しているガイアナ
この所の内政のゴタゴタがサッカーにも影響を及ぼしてきました
高い人気を誇るクリケットの影で、優秀なサッカー選手を発掘していく事は至難の業でした

jamaal shabazz
「この国のサッカー設備は時代遅れの物ばかりです。でも選手には不十分な設備は私たちの熱い思いで埋めようと話しています。少年のダビデが巨人のゴリアテを倒したからこそ私達も希望を持てるんです。勿論これは聖書の中の話です。国が小さければ資源だって限られてきますが、だからといって小さな国が何か大きな事をやってのける事は十分に可能だとそう信じています」

ガイアナサッカー協会会長のコリン・クラスは協会だけで無く、国を挙げての努力が必要だと考えています
選手と一般市民、そして民間セクター、全ての協力無くしてサッカーの発展はありえません
国のサポートが加われば結果が出せるはずです

colin klass
「あらゆる方面からサポートを受けられる様になってきています。我々がずっと求め続けてきたサポートも沢山の企業から得られる様になりました。まだまだ十分とは言えませんが、何も無いよりは全然マシです。サッカーは人が考えている以上にお金のかかるスポーツですから。次の予選ラウンドも援助が必要です。真剣に将来頂点を目指すのなら今から投資をしなければなりません」

２００５年から２００６年を通して１４試合負けなしだったガイアナ
負けなし記録は２００７年１月に止められましたが、急成長はまだ続いています
２００６年に行われたカリビアンカップ出場も果たし、ガイアナサッカー史上最高成績となる準決勝進出を成し遂げました
得失点差での敗退でしたが、これで初出場の期待がかかったCONCACAFゴールドカップの出場は逃してしまいました

jamaal shabazz
「ヨーロッパや南米のトップレベルでの試合を知っている人はガイアナには殆どいません。でも２年前にカリビアンカップに出場した事で、ガイアナ国民の間にもガイアナのサッカーを応援するという気持ちが芽生えました。今ではガイアナ国民もガイアナの世界ランキングの順位をもっと上げる事とＦＩＦＡの大会でもっと勝ち進む事に物凄く関心を持つ様になりました。だからガイアナの順位が上昇すると、皆とても喜んでくれるのです」

代表のニュートン兄弟を紹介しましょう
父親はガイアナ生まれですが７０年代にイングランドへ移住
ジェイクとハワードのニュートン兄弟はイングランド７部リーグのセミプロクラブ、スタインズ・タウンＦＣ（Staines Town F.C.）でプレーしています
どの様にしてこの兄弟はガイアナ代表となったのでしょう？

jake newton
「何ヶ月か前にガイアナ系の生まれで、私と弟の様にセミプロクラブでプレーしている友人から連絡があってイングランドでプレーしているガイアナ人選手をスカウトしている人が居るという話を聞きました。そこで私達はイヴァンペルソード？という名のスカウトマンと出会ったのです。彼は単刀直入に国外でプレーしている選手で、ガイアナ代表としてプレー出来る選手を探していると言いました。そしてキューバとの試合を控えている事も教えてくれました。そのミーティングから数週間後に私達は飛行機に乗ってガイアナへやってきました。私の父が生まれ、家族の半分が暮らしている国を代表してプレー出来るなんてこんな誇らしい事なんてありません。代表戦で戦う事はサッカー選手にとっては夢の様な出来事です。その夢が実現したなんてとても信じられない気分で一杯です」

現在ガイアナ代表メンバーの内の１２名はトリニダード・トバゴの１部リーグでプロ選手としてプレーしています
そしてアメリカやカナダのアマチュアリーグでプレーしている選手も居ます
国際経験豊富な選手が増えてワールドカップ出場の夢が広がります

jamaal shabazz
「３次予選に勝ち進めばチームは一気に盛り上がるはずです。ですからまずはそこを目標としていくつもりです。その目標が実現したら、またさらにその次のレベルへと目標を高めていく事になります。これまで私はトリニダード・トバゴが変身していくのを見てきました。ジャマイカが変身する所も目撃しました。選手自身が大きく成長していく所を私は実際に見てきたのです。勿論限界はあります。ですから今は現実的な目標だけを見据えていきたいと思っています。選手達にもとにかく今は次のスリナム戦だけを考える様に、そう話しています」

昨年のクリケットワールドカップの為に建てられたプロビデンス・クリケットスタジアム（Providence Stadium）で行われたスリナム戦
このスタジアムでサッカーの試合が行われるのは初めて
１万１千人のガイアナサポーターが応援に集まりました
ガイアナは第一戦は０対１で敗れています

前半ニュートン兄弟の出番はありませんでした
試合は１１分スリナムが先制します
フリーキックからジャーメイン・バン・ダイク（Jermaine Van Dijk）のゴールが決まりました

さらに３６分スリナムが追加点をあげます
ロマノ・ソルダム（Romano Sordam）のシュートはゴールキーパーに弾かれますが、クリフトン・サンドビレット（Clifton Sandvliet）が捻じ込んで２対０

途中からハワード・ニュートン（Howard Newton）がピッチに入ります
後半４４分、ガイアナのナイジェル・コーディントン（Nigel Codrington）のオーバーヘッドキックが決まりました

１点差スタジアムの雰囲気は一気に盛り上がりましたが、もう時間がありません
ガイアナのワールドカップ出場の夢は絶たれました

jamaal shabazz
「前半はスペースもあって自由にプレー出来たのにゴールへと繋げる事が出来ませんでした。スリナムは良いチームですが、残り１５分はガイアナの方が良い動きをしていました。でもエンジンがかかるのが少し遅すぎましたね」

ガイアナはまた４年間レベルアップに努めるでしょう
一方スリナムはワールドカップ予選グループリーグ出場を決めています

Guyana Football Federation
http://www.guyanaff.com/

Guyana national football team
http://en.wikipedia.org/wiki/Guyana_national_football_team

FIFA Coca Cola World Ranking Guyana
http://www.fifa.com/associations/association=guy/ranking/gender=m/index.html

World Football Elo Ratings: Guyana
http://www.eloratings.net/Guyana.htm

Nigel Codrington
http://en.wikipedia.org/wiki/Nigel_Codrington