WORLD SOCCER MAGAZINE 1999年3月号(創刊号)

WORLD SOCCER MAGAZINE 1999年3月号(創

表紙 ロナウドとラウール


王国、永遠の誘惑
ブラジル主義
最新ブラジルサッカーの勘どころ指南
対談 向笠直×マリーニョ


ファンタスティックで行こう!!

尽きることがないタレントの宝庫ブラジル。いつも楽しげで驚きに満ちたサッカーの王国からは、次から次に新しい才能が生まれてくる。そんなブラジルの“いま”を、『週刊サッカー・マガジン』のブラジル情報コーナーでお馴染みの向笠直さんと、JSL時代フジタ、日産でゲームメーカーとして活躍したマリーニョさんに案内していただこう。



完璧は許されない!?
ブラジル人に愛されるキャラクターとは


ーーーマリーニョさんは年末にミナスジュライスへ帰られたとか。クルゼイロが全国選手権の決勝で負けて、みんながっかりしていらしたでしょうね。


マリーニョ
いや、僕の周りではまったくその反対でした。コリンチャンスの優勝を一番喜んだのがアトレチコのファン(笑)。だってリベルタドーレス杯も勝ってるクルゼイロになくて、アトレチコが持ってるタイトルは全国選手権だけ。これでクルゼイロが優勝したら、アトレチコが自慢できるものがなくなっちゃう。だからみんなコリンチャンスを応援してた。試合が終わった瞬間、ベロオリゾンテクルゼイロアトレチコのホームタウン)じゃ、花火がすごかった。あんなにコリンチアーノがいたとは知らなかったよ(笑)。


向笠
ああいったライバルチームのファン同士の感覚ってすごいよね。トヨタカップのときも、バスコ・ダ・ガマと同じリオデジャネイロフラメンゴ・ファンがレアル・マドリードのTシャツ(フラメンゴとレアルのユニホームを掛け合わせたデザイン)がめちゃくちゃ売れて。ライバルの対戦相手を応援しなきゃならない自分たちを、格好悪いって思わないんだもん(笑)。


マリーニョ
ミナスに帰って最高におかしかったのが、道端で2羽のオウムを売ってたのね。クルゼイロのユニホームを着たオウムが500円、アトレチコのユニホームを着たのが2000円だった。「今年はクルゼイロの方が強かったのに、何で?」って聞いたら、クルゼイロのオウムはクルゼイロの歌しか歌えない。でも、アトレチコはいっぱい歌えるからだって(笑)アトレチコだけじゃなくて、コリンチャンスバイーアの歌も歌いますよーって(笑)。みんなクルゼイロと対戦してるからね。ごめんね、ミナスの話いっぱいして。でも向笠さんと一緒だと、どうせ後はコリンチャンスの話ばっかりになるんだから(笑)。


向笠
だって仕方ないよ。ブラジルチャンピオンなんだから(笑)


ーーー全国選手権でのコリンチャンス優勝でブラジルの98年はシーズンが終わりました。年末にはMVPとベストイレブンも発表されました。


向笠
MVPのガマーラコリンチャンスパラグアイ代表DF)は当然でしょう。かつてのフィゲロア(70年代のインテルナショナルのCB。チリ代表の名手)みたいなスタイルで、1対1がめちゃくちゃ強い。クラシックな感じが、何とも味があるんですよ。いまブラジルではパラグアイの選手がいいんですね。ベストイレブンの右SBアルセ(パルメイラス)もそうでしょ。彼らの方が国内の選手よりも安いからね。地理的にもブラジルに近いし。


マリーニョ
ガマーラはいま南米の中で一番光ってる選手。ブラジルではサッカーの経済がよくなったから、外国人がたくさんプレーするようになってるよね。ドゥンガサンパイオジョルジーニョも戻ったし。いまマーケットとして一番大きいのはヨーロッパで、その次が南米じゃないからな。


ーーーベストイレブンのGKには、アトランタ・オリンピックで失策してしまったジーダが選ばれました。


マリーニョ
ジーダのことをみんなが言うのは、「ゴールの下ではめちゃめちゃうまい。ペナルティー・エリアを出るときは怖い」(笑)。でもオリンピックからは成長したよ。


向笠
時々はポカをやって欲しいなあ。多少、人間くさいところがないとブラジル人は愛してくれないからさ(笑)。完璧は許されない。


ーーー右SBのアルセは?


向笠
去年よりグレミオのころの方がよかった感じがするんだけど(95年-96年)。このポジションは、カフーにしてもゼ・マリアにしても、代表クラスが国内にいないからね。


マリーニョ
ゼ・マリアはバスコ行きが決まったようだけどね。アルセは攻撃の起点になれるでしょう。特にセットプレーから。だから普通のバックより目立つ。


ーーーCBにはガマーラポルトゲーザのセザールが選ばれました。


向笠
1試合か2試合だけど、セザールは代表で少しだけよかった。まだ23歳だし、これからの期待も込めて、という感じの選出かな。


マリーニョ
でも心配。ガマーラは外国人でセザールは若いでしょ。見方を変えれば、働き盛りのCBが出てきていないってことだから。


向笠
代表にだって影響あるよね。まあ、いざとなりゃ、ガマーラ帰化させれあいいか。発音もブラジル流にガマーハ、として(笑)。


マリーニョ
そんなのダメに決まってるでしょ(笑)!!


ーーー左SBはトヨタカップでも印象深かったフェリッピ。98年は彼の台頭が目立ちましたね。


マリーニョ
新人王はファービオ・ジュニオールクルゼイロ)じゃなくて彼でもよかったと思う。確かに試合出るようになったのはおととしからだけど、それぐらい去年は成長したもの。彼は攻撃ができるから面白いのね。だからみんな魅力を感じる。ロベルト・カルロスだって攻められなきゃ、ただの選手だもの。


向笠
攻撃できるかどうかはすごく重要。いくら守備がうまくても、それだけの選手はブラジルではめちゃくちゃ評価が低いから。フェリッピ以外でもサンパウロのセウジーニョ、コリンチャンスのシウビーニョもよかった。左SBは豊富、ブラジルの左利きはまだまだ健在ですよ。



尽きることのない才能の宝庫。新しいスターは続々と生まれる



ーーー中盤のバンペッタ(コリンチャンス)はどうですか。


向笠
昔と違って、現在のボランチは守備だけのポジションじゃない。バンペッタに限らず、スルスルと上がっていってラストパスを出すボランチは多いよね。


マリーニョ
彼はルシェンブルゴコリンチャンス、代表監督)が求める選手。守れて、組み立てができて、攻撃参加もする。最近ブラジルの中盤は1人が前でボランチが3人という形が増えてるんです。だからなおさらボランチも前で仕事ができなきゃダメ。昔の中盤は、例えばドゥンガとマウロ・シウバといった守備専門の選手を置いていた。「僕たち、守りしかできません」というような(笑)。それで前の2人がゲームメークという構成だったけど、いまは守りだけじゃ物足りない。1人2役こなせないとね。それを始めたのがセザール・サンパイオなんです。


ーーークルゼイロのデジャイールはどうでしょう。


向笠
本職はボランチなんだけど、クルゼイロでは上がり目でやってました。FKやパスがうまいのに、期待外れのときが多すぎる。目立たない試合がよくあるんですよ。あまり好きな選手じゃないなあ。


マリーニョ
あまりにも裏切られ続けるとね。もちろん、クルゼイロの決勝進出に貢献してけど。


ーーージャクソン(スポルチ)はマラニョン州という北部出身の25歳。サッカーが盛んな、いわゆる4大州(サンパウロリオデジャネイロ、ミナスジェライス、リオグランデスール)の生まれではないんですね。


向笠
この人はうまいですよ。ルシェンブルゴにあまり期待されてなかったみたいだけど、代表に呼ばれて出るたびに、それなりにアピールしていましたね。


マリーニョ
身長160センチそこそこの小柄で、いかにもブラジル北部の選手、って感じ。2,3回プレーをナマで見たけど、混戦の中で簡単に味方を見つけて、サッとパスを出す才能がある。すごい、というんじゃなくて、うまいタイプ。


向笠
昔のジーコみたいだね。彼はパルメイラスに行くことが決まってるけど、そこでどれだけ本領を発揮できるかでしょうね。パルメイラスには若くて同じ左利きのアレックスがいるし。だからジーニョも大変だよ。フラメンゴ行きが給料でもめて立ち消えになって、パルメイラスに帰ってきたはいいけど、レギュラー争いは厳しいからね、本当はフリューゲルスに帰るつもりだったのかもしれないけどさ(笑)。


マリーニョ
ベスト・イレブンには入ってないけど、アレックスは若いし(21歳)すごく面白い。また1人、楽しみな選手が増えたね。


ーーー元名古屋グランパスのバウドも頑張ってますよ。


向笠
ここに選んじゃいけないと思うな。確かに34歳であれだけ動き回れるのはすごいけどさ。


マリーニョ
でも今年のクルゼイロが好成績だったのはバウドのおかげ。特別なプレーをしていたのは彼だけだよ。あのトシで日本に行って戻ってきて、しかも1流のプレーができる驚きで選ばれたんだと思う。


ーーーアタッカーはファービオ・ジュニオールとビオーラの2人でした。


向笠
マルセリーニョ・カリオカコリンチャンス)が入ってないのが許せないね。確かに問題児だよ、門限破って夜遊びに行ったり、途中交替に起こってそのままタクシーで家に帰っちゃったり(笑)。ルシェンブルゴともめて、ほされたときもあったけど、あれだけシュートを打つ選手はいないって。やたら左右に動き回るし、FKもすごいでしょ。


マリーニョ
今回はサッカーじゃなくて人間性を見て落とされたところがあるようでかわいそうだよね。ファービオ・ジュニオールは新人王だし、ビオーラは得点王。2人とも悪くないんだけど、マルセニーリョ・カリオカがいないのは寂しいな。


向笠
いずれにしても、相変わらずいるんですよ。ブラジルの楽しさは、ホントここにある。毎年どころか、各大会ごとにスターが出てくる。ジャクソンみたいに田舎からも続々と出てきているしね、選手発掘のために、各チームともスカウト網をどれだけ持ってるのかが一つの少雨になってきているところがある。



自由こそすべて。スクールでは学べないマリーシアとサンバ


ーーー98年のベストイレブンの顔ぶれを見ただけでもわかりますが、どんどん新しいタレントが生まれてくるところがブラジルの魅力ですね。


マリーニョ
でもね、最近のブラジルで心配なことがあるんです。選手の出身地を見ると、クラブでも代表でも、みんな郊外や田舎から来てる。何でかというと、都会では子供たちがサッカーをして遊ぶ場所がなくなりつつあるから。リオは海があってビーチでボールを蹴れるから違うけどね。何が寂しいかって、ブラジルの都会にサッカー・スクールがいっぱい出てきてることなんだ。


向笠
ああ、あれねえ!!相手はまだ子供なのに、中にはフィジカル・トレーニングをやらせるところもあるでしょう。「おいおい、そりゃ違うぜ」と言いたくもなる。でもサンパウロとか車が増えすぎて、朝から晩まで交通ラッシュでしょう。サッカーはスクールで学ぶものじゃないけど、やる場所がないからねえ。


マリーニョ
分かるよ。でも「サッカーとサンバは学校では覚えられない」ということわざ通りで、僕らはペラーダス(草サッカー)でいろいろ学ぶんだ。スクールではコーチがああしなさい。こうしなさいと指図して、まるで自由じゃないでしょう。そんなことやってたら、ブラジルの良さがなくなっちゃう。日本だって同じことがいえますよ。日本はどこも都会で田舎がないでしょ。だからフットサル(笑)。「フットサルで自由な遊び場を作りましょう」って僕はいつも言ってるの。


ーーーよく言われるマリーシアも、遊びの中から学ぶものですか。


マリーニョ
この間4歳の甥と遊んでて面白かったのは、僕がボールをキープしてると、いつの間にか後ろからシャツを引っ張ってる(笑)。それをファウルにしたらかわいそう。だって大人の僕から、チビはどうしてもボールを奪いたいんだから。


向笠
なるほどね。そうやって足だけじゃなくて手の使い方も自然に身につけていくんだ(笑)。


マリーニョ
キックフェイントしてみせたら、オッ!?とビビッたんだけど、2分後にチビも真似してやってる(笑)。これがマリーシアなんだ。誰かに教わったりするものじゃない。フェイントもそんなところから生まれるんです。フェイントもそんなところから生まれるんです。フェイントがうまいヤツはね、まず話が面白い。いつも周りを笑わせたり、ふざけたりしてるの。組織の中でいきいきするかどうかは別なんだけどね(笑)


向笠
個が薄められてチームが重要視されるのが現在のサッカーだから。その点、自由なブラジルにはまだ救われるところがあるけど。


マリーニョ
でも最近のサッカーには不満だなあ。ボールをキープしたり、1対1の面白さがなくなってきてる。それはブラジルの魅力がなくなってきているということ。やっぱり、94年のワールドカップにあのサッカーで優勝したのがよくなかった。あれじゃあ、ただ勝つためだけのほかの国のサッカーと一緒だよ。82年、86年のサッカーで優勝していたら、いまの状況は違ったはず。


向笠
勝つことも大事だけど、プラスアルファがないとね。ブラジルにはそういう魅力のあるチームがいっぱいあるわけ。勝つだけじゃなくて、大物を食ってお客さんの喜ぶサッカーをするチームがね。その楽しみがあるのが州選手権なんだよね。例えばリバウドがいたときのモジミリンなんかは、サンパウロの中堅チームだったけど、中盤ですごいトライアングルを作ってて、ちょっとしたセンセーションだったんだよね。そういうサッカーにファンは喜ぶわけ。どうせ優勝するのはビッグ4(コリンチャンス、サントス、パルメイラスサンパウロ)なんだからさ(笑)。


マリーニョ
サッカーはファンタジー。だからこそ、面白い。選手がチームの犠牲になっているサッカーを見るのは悲しいよ。「はい、右にパス出しますよ。センタリングしますよ」って、やることが見え見えのアヤックスのサッカーなんて全然面白くない。あれは意外性のまるでない、「事務のサッカー」だね。


向笠
ブラジルのサッカーって、意外性が楽しいんだよね。エジウソンなんて訳分からないでしょう(笑)。だから面白い。普通、ドリブルしちゃいけないときにドリブルしたり、イライラさせられることもあるけど、いてくれるだけで楽しいよね。何といっても最高だったのが、全国選手権の決勝第3戦で見せた先制点ね。実にシビれましたねえ。


マリーニョ
普通なら直接シュートを打っちゃうところを、クルゼイロのGKのジーダをわざわざかわしたじゃない。ああいうプレーを見たいよね。トヨタカップのラウルの決勝点みたいなね。


向笠
ラウルのゴールはブラジル人も絶賛していましたね。「あれはスペイン人が決めたんじゃない。“ブラジルのゴール”だ」って、みんな言ってました。



10番受難のこの時代。だからこそ求められるサッカーのエッセンス



ーーーブラジル的な10番の存在は、サッカーの面白さの象徴でもあります。現在、そんな10番を継げそうな選手はいますか。


マリーニョ
残念ながら見当たらないね。いまのところ、ジーコで最後でしょう。リバウド、ジオバンニ、ジュニーニョ、その後いろいろ期待したけど代表クラスで思い浮かばない。現在のサッカーには時間がないでしょう。センターサークルを越えたらすぐ誰か近寄ってくるから、考える前にボールを離すしかない。1人かわして考えてからパスを出す余裕がないんです。いまじゃ10番はスーパーマンじゃないとできない。


向笠
10番なら当然フリーキックも蹴れないとダメだし。最近でこそFWが目立つけど、昔は10番がボールをもらって右見て左見て、それからおもむろにパスを出す、って感じだったんだけどね。ただパルメイラスのアレックスはボールの持ち方が独特で、そんな10番になれるかもしれない。それにしてもブラジルでも以前ほど10番を大事にしなくなった。前園がサントスで10番を付けるか、って話があったぐらいだから(笑)。


マリーニョ
昔はジーコがいて、プラティニがいて、マラドーナがいたけど、彼らのような選手がいなくなってきたってことだよ。


ーーーそういった状況を変える意味でも、ブラジル代表には大いに期待したいところです。夢のあるセレソンを選ぶと、どうなりますか。


向笠
うわあ、それは難しい課題だなあ。キープレーヤーなら挙げられるけど。それはロナウドですね。やっぱり。コンディションの悪さを差し引いても、絶対に無視できない選手。ただ、ヨーロッパでプレーする彼を見ると、本当にかわいそうになる。辛抱強く待ってても、全然、いいパスが来ないんだもの。


マリーニョ
ロナウドは本当に面白い存在。ヨーロッパだからいまみたいな仕事しかできないけど、ブラジルに帰ったらまたスタイルが変わるんじゃないかな。それから、まだ代表での実績はないんだけど、僕はパルメイラスのアレックスがどんなプレーをするか見てみたいね。そしえロマーリオが素晴らしいと思う。この間リオで試合を見たけど、やっぱりよかったね。彼が代表から外されたとき、ブラジルはフランスでダメだろうと思ったよ。


向笠
うーん、ちょっと前なら許せるけど、最近はケガばっかりでどうなのかなあ。でも確かにロマーリオは天才だと思いますよ。ロナウドなんてロマーリオのフェイントをコピーしまくってるし。


ーーーあのトラップには、思わずニンマリさせられますよね。


マリーニョ
四角いものを丸くするトラップ(笑)


向笠
そうそう!!いかにもブラジル人らしい言い方。アイツを見てると、よくぞあんなひどいパスをいとも簡単にトラップできるものだと、本当に感動するよね。


マリーニョ
あのね、ロマーリオと前園って昔は共通点があったんだよ。昔の前園もボールを受けるとき、トラップしながら体を回せたの。ボールのスピードを殺して、反転するという2つの動作を同時にできてたのね。「こいる、ロマーリオみたいだな、面白いことやるな」と思って注目していたのに、いつの間にか忘れちゃったみたい(笑)


ーーーブラジルではロマーリオエジムンドら「愛すべき悪童」が存在感を持っています。そういうキャラクターが人気があるのでしょうか。


マリーニョ
なぜ、ブラジル人がペレよりガリンシャの方が好きかと言われたら、ペレは真面目、ガリンシャは夢と意外性の代表だから。誰が一番うまいかと聞かれたらもとろんペレなんだけど、ガリンシャはサッカー選手としては一番理想的。


向笠
ペレは完璧すぎるんですよ。何をやらせてもうまいから。でもブラジル人の好みは違うところにもある。マスコミだってそうですよ。戦術的にどうとか結果とかじゃなくて、アイツのプレーのあそこがよかった、面白かったと内容を評価する。


マリーニョ
例えばGKをドリブルでかわすところまで一緒として、ペレだったらそこからシュートを入れちゃう。でもね、これは本当にあった話なんだけど、ガリンシャは1回GKをかわしたのにわざわざ元に戻ってもう1回GKをかわしてからシュートを決めたんだから!!ガリンシャにはブラジルサッカーのイメージ、エッセンスがある。サッカーで一番の天才はガリンシャで、その次がマラドーナ。2人ともグラウンド上で遊んでふざけることができて、それで成功する。


向笠
ファンのメンタリティーもそう。みんなサッカーが好きで好きでたまらないんだけど、負けてもおちゃらけにしてしまえる余裕がある。74年、ボロ負けしたワールドカップですら、テレビでおちょくっていたのには驚いたね。負けたことをヒステリックに騒ぎ立てるんじゃなくて、リプレーで珍プレーみたいにして笑い物にしてる。だから救われる。


マリーニョ
ブラジルではサッカーは文化。おばあちゃんが物を運んでてつまずいて転ぶでしょう。「あ、ボール踏んじゃった」って、おばあちゃん本人が言うんだから(笑)。街を歩いていて女の子と目が合ったら、「オッ、いま彼女、オレにパスしてくれた!!」って言うの。それぐらい生活のなかにサッカーが入ってる。


向笠
さすがだよね。日本もようやく、そういう言い回しを聞いただけでニヤリとできるようにはなってきてるけど、まだまだだろうね。


マリーニョ
大丈夫、日本でも子供たちがフットサルで自由に遊んだら、すぐブラジルみたいになるよ(笑)





写真のキャプション
Vampeta
神様ペレに「超現代的で現在、ブラジルナンバーワンの選手」と絶賛されるバンペッタ。複数の役割をこなすマルチタレントだ



Gamara vs Viola
ガマーラ(左)とビオーラがボールを争う。昨季、ガマーラが受けたカードはわずか。技術が高くクレバーな守備はMVPにふさわしい。



Felipe
フットサル仕込みの器用なステップで攻めあがるフェリップ(右)だが、もちろん守備も一流だ。代表で活躍するのも時間の問題か



エジウソン
全国選手権の決勝第3戦。コリンチャンスエジウソン(左)がGKジーダをかわして先制点を挙げる。これがブラジル流ゴール



Jackson
スカウト網の発達と経済の好転で、最近ではジャクソン(手前)のような片田舎の選手も数多く発掘されるようになった。



Alex
いま最も注目すべき存在の新鋭アレックス。果たして99年、スーパースターに仲間入りするチャンスをつかむことができるか。



Romario
たぐいまれなテクニックとイマジネーションを誇るロマーリオ。まだまだ健在であるところを示してほしい。

チキアルセにファビオジュニオールにバウドとJにも所属していた選手も1998年のブラジルベストイレブンはいたんだなぁ。あとはエジウソンの事も書いてるな。その中でファビオジュニオールは酷かったな。
慣れる慣れないの問題以前って感じだったが慣れれば凄っ!ってなるんか、まあ他のJのクラブもとらんだろうけど。

それと

マリーニョ
あのね、ロマーリオと前園って昔は共通点があったんだよ。昔の前園もボールを受けるとき、トラップしながら体を回せたの。ボールのスピードを殺して、反転するという2つの動作を同時にできてたのね。「こいる、ロマーリオみたいだな、面白いことやるな」と思って注目していたのに、いつの間にか忘れちゃったみたい(笑)

前園さんとロマーリオの共通点
何故忘れてしまったんだ前園さん!w



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この号はもう売ってないみたいだがw
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