FUTBOL MUNDIAL #578●特集1:ジーコ

●特集1:ジーコ
ジーコ日本代表監督が日本で歩んできたサッカー人生を振り返る。

2002年のワールドカップ終了後日本代表監督に就任したのがブラジルの英雄ジーコです
指導者としての経験は浅いものの、Jリーグとの関わりは深くファンからも愛されていたジーコ
納得の人事でした




zico
「代表監督になるのは簡単な事ではありません。オファーを受けたのは日本での生活を長く経験していたからです。この国のサッカーの事は良く分かっていますし、何が必要なのかも理解して選手達の潜在能力も把握しています。だから代表でいい仕事が出来る自信もありました。ただ初めて経験する事もありますし、監督は結局結果が全てです。勝ち続けなければ駄目ですからねぇ」



ジーコの初来日は1981年フラメンゴの一員として第二回インターコンチネンタルカップで東京を訪れ、ヨーロッパ王者のリヴァプールを3対0と一蹴しました




zico
「当時のフラメンゴは本当に強かったんです。スターティングイレブンの内9人か10人はブラジル代表メンバーだったと思いますねぇ。例えて言うならサンバのリズムに乗ってプレーしているような感じでした。ジュニオールレアンドロモーゼルアンドラーデ、バジリオを始め素晴らしいメンバーが勢ぞろいしていたんです。私にとってインタコンチネンタルカップは最高の思い出です。日本への思い入れが芽生えるきっかけにもなりました」




住友金属、後の鹿島アントラーズにやってきたのは10年後
託されたのは日本サッカーのレベルアップでした
期待通りに、アントラーズをJリーグ屈指のクラブへと成長させたジーコ
Jリーグの鈴木チェアマンはアントラーズの前社長でした



masaru suzuki
「日本の為にジーコが必要だと我々が思ったというより、ジーコが俺はここへ行ったら役に立つぞと思った方が先だと思います。で私共はねそういう事が分からなかった。ジーコがどれだけの能力があるかね、正直言って分からなかったんで。でまあ、はじめはねまあ年が年だったですから、まぁ選手1回引退した人間がまた来るって言う事で、ひょっとしたらこれはまあ、稼ぎに来てるなと言う感じがあったんですよ」




zico
「日本に来た時選手は紙とペンを持って監督の指示を聞いていたんです。熱心にノートを取って試合前になると書いた物を見直して、ピッチでやるべきものを確認する。そんなレベルでしたよ」




勿論今は全く違います
日本のトッププレーヤーは試合の中で自分の置かれた状況に対処出来ています
ヨーロッパのクラブで活躍する選手もいます
中村、稲本、高原らの事はジーコも頼りにしています
中田浩二もその1人




koji nakata
「まぁやっぱポジション違うんでね。全然やる事とかもそういうのも違いますし、トルシエはほんと組織でやってた事っていうのが多いんですけど、ジーコはねある程度中盤とか自由にやらせてくれるんでね、まそういう所は違うと思いますけど」




代表監督としての力量が初めて試されたのが2004年に中国で行われたアジアカップ
ヨーロッパでプレーするメンバーの多くを欠いて臨んだからです
しかもスタジアムを埋めた、敵意剥き出しの中国人サポーターに囲まれての戦いでした
それでも決勝でホスト国の中国を3対1で下し見事優勝
ブーイングに対してピッチで借りを返しました
2000年にはトルシエのチームが、そして4年後にジーコのチームがアジアカップのタイトルを奪いました




zico
「何より大きいのは選手達が自信を深めた事でしょうねぇ。日本を離れて何処と対戦してもいい結果を出せると手ごたえを感じたはずです。日本はホームには強くても、これまではアウェーでは苦しんでいました。私としてはそこを変えたかったんですが、努力が報われましたよ。最近は良い結果を出せていますし、どんなチームとも戦える。そういう意味でも中国での優勝は重要でした」




2006年のドイツワールドカップへ向けた最終予選もこの調子で突破したい所
アジアの出場枠は最低4つ
北中米カリブ海のチームとのプレーオフに勝てば5つになります
勿論日本としては、イラン、バーレーン北朝鮮との争いで上位2チームに入って出場を決めたい所です




zico
「日本は今やアジアナンバー1のチームです。ただ名声だけでは試合に勝てません。勝つ為にはいいサッカーをして全力を尽くすだけです。選手達がその事に集中して2004年と同じ様に懸命にプレー出来れば目指すゴールに辿りつけるはずですよ。今は一歩一歩進んでいます。ホームゲームに勝つのが何よりですねぇ。そうすれば良い形で最終予選を乗り切れます。自信はありますよ」




選手としてはワールドカップの優勝に手が届かなかったジーコ
監督としてそれを果たすのも並大抵の事ではありません
ただ栄冠以外にも掴んだ物があると胸を張ります。




zico
「キャリアにおいて何かを手に入れるのは大切な事だと思っています。でも私が問題にしているのは自分が掴んだり失ったりしたトロフィーの事だけではありません。ブラジルやイタリアそして日本でずっとサッカー界に貢献してきた事の方が重要ですよ。キャリアを振り返った時、サッカー界にいい影響を与えて、ゲームの為尽力出来ていると胸を張れますから」





ジーコオフィシャル
http://sports.nifty.com/zico/



フラメンゴ
http://www.flamengo.com.br/



リヴァプール
http://www.liverpoolfc.tv/



1981年トヨタカップ当時のメンバー
http://www.toyotacup.com/html/history/02/img/09.jpg
http://www.toyotacup.com/html/history/02/img/10.jpg



Jスポーツ
http://www.jsports.co.jp/program/info/6236.html