Football Business3 ユベントス 株式上場  ロミーガイの改革Ⅰ

株式上場
ロミーガイの改革Ⅰ


2001年12月20日
ミラノ


ユベントスはこの日、ミラノ株式市場にて株式の上場を果たします
イタリアではローマ、ラツィオについで3番目の事でした
ユベントスは株式を上場する事で企業の信頼を高め、大規模な資金調達が出来る様になったのです




ロミーガイ
「株式上場までの数ヶ月は本当に悪夢の様な毎日でした。特に経理、財政部門は上場の準備に本当に苦労させられたのです。しかしそれは氷山の一角にすぎません。その裏での全員の苦労と努力があって、ようやく上場に辿り着いたのです。それだけに株主の方々は感謝してくれました。そしてこの努力はユベントスに必要な事だったのです。ユベントスはサッカーチームとしてはビッグクラブですが会社としては小さな組織に過ぎません。小さな組織には努力が必要なんです」




株式上場により資金調達を大規模に行える様になったユベントス
しかしロミーガイの狙いは他にもありました




ロミーガイ
「株式上場のお蔭で会社は企業としての質を大きく高めました。ユベントス全体に企業としての責任感、意識が高まったのです。特に一般企業として考えた場合、それまで以上にサービス産業、エンターティメント産業としての意識が一層明確になりました。これこそ私が狙っていた改革の一つ。株式上場はユベントスにとって最初の変化と言ってもいいでしょう。株式上場以降、選手を管理しているスポーツ部門の企業経営に対する態度、取り組み方に大きな変化が生まれました。それまではあくまで試合の為に動いていた部門でしたが、今日ではマスコミに報道される事の大切さがしっかりと根付いていると思います。スタッフは活字メディア、テレビにおいても各自が果たすべき役割をしっかりと認識しています。また選手達にも何をおいてもマスコミの活動に参加しようという意識が芽生え始めました。今ではスポンサーやテレビ局が望めば遠征やイベントにも参加しています。これは非常に重要でメディアへの露出がファンを獲得し、売り上げに反映されるのです」




ロミーガイは選手とファンとの関係をより密接にする為、交流の場を多く設けました
これが企業化したユベントスに相乗効果をもたらします
サポーターは選手が身近に感じられる事で、以前にもまして応援に熱が入り、選手は常にファンを意識する事で上場企業の一員としての責任感に芽生えたのです



そしてその相乗効果は売り上げの変化に如実に現れました
シーズン毎のユベントスの収入の変化を見てみると株式上場後に伸びているのが一目瞭然です
その額は実に4000万ユーロ、日本円にして50億円もの収入アップとなりました
また収入の内訳を見てみると軒並みアップしていますが、特にファン獲得による影響が強いチケット収入の増加率が顕著に現れています
ロミーガイは株式上場により資本金の増加に留まらず、こんな部分まで見据えていたのです




ロミー・ガイ
「株式上場はポジティブ以外の何ものでもありませんでした。しかしながらエンターティメントという概念から見れば、上場によって我々のプロジェクトが終わった訳ではありません。まだまだすべき事があったのです。それこそが二つ目の改革に繋がるのです」




ユベントスに大きな改革をもたらした株式上場
しかしロミーガイにとってこれは一つの通過点にしか過ぎませんでした