Football Business3ユベントス スポンサー戦略 ロミーガイの改革Ⅱ

スポンサー戦略
ロミーガイの改革Ⅱ

株式を上場する事によって企業の品質を高めたユベントス
ロミーガイは第2の改革に着手します
それはある企業とのスポンサー契約でした




ロミーガイ
マーケティング部長
ユベントスが大きく変わったのはナイキと契約してからです。ナイキは実に多くの物を我々に与えてくれました。そもそも私は長い間世界的な企業と提携する道を模索していました。何故ならクラブチームの経営の中には自分達の力ではどうする事も出来ない事があったからです。そこで目に留まったのがナイキです。我々の考え方に合わせて協力関係を組んでいける力を持つのはナイキの他にはいませんでしたから」




本当の狙いとは?




ロミーガイ
「ナイキとの契約は用具の提供からマーチャンダイジング、すなわち商品開発に至るまで多岐に渡っています。中でも私が最も重要視したのがチームブランドを使った商品開発とその流通です。チームロゴの入ったグッズを開発し販売するという様な事です。しかし商品を売るのが専門ではない我々の力だけでは限界があります。そこでナイキとの契約です。ナイキと手を組む事によって様々な問題は見事に解消されました」




単なる資金集めのスポンサー契約では無く、彼が目をつけたのはナイキの商品開発力と世界的な商品流通網
ユベントスブランドの確立こそが真の目的だったのです


ナイキとの契約後、ユベントスは世界中で47万枚ものユニフォームを売り上げます
04/05シーズン 選手のネーム入りユニフォーム販売数 47万枚 (27%がイタリア国内)
これは当時の一番人気ミランの41万枚を凌ぐ数字でした




ロミーガイ
「ユニフォームはサッカー選手たちが着るチームのシンボルです。最近はコレクターも居ますし、若者達の間では日常に着られるファッションアイテムにもなっています。ですから私達は色や形、着心地などをナイキと十分に話し合い、検討した上でユニフォームを作ります。デザイン等は選手達が実際に着用する一年半も前から議論し始めるのです。1年半も前ですよ。これだけ時間をかけているという事からもユニフォームの重要性が判って貰えるでしょう。それは即ちスポンサー契約の重要性でもあるのです。流行りそうな物を選び、世界中何処でも通用する物を作り上げる。そうして出来上がった物が世界中のナイキショップに置かれる事になるのです。彼らは迅速且つ正確に仕事をこなしてくれます。例えば明日ユベントスのユニフォームをショップに展示しようと決めたら、本当にその通りになってしまうのです。こんな芸当が出来るのはナイキやアディダスぐらいのものでしょう」




既に来シーズン使用されるユニフォームが世界中のナイキショップに展示されています
アウェー用は大幅にデザインを変え、カラーも赤に変更されました



ユベントスとナイキの関係はさらに密度を深めていきます
ユベントスが人材を出し、ナイキが資金を提供し、新会社を設立したのです


JUVENTUS MERCHANDISING S.r.l
有限会社 ユベントス マーチャンダイジング


この新会社にロミーガイはいかなるビジョンを持っているのでしょうか




ロミーガイ
「ナイキとの契約には大きく分けて二つの目的があります。一つ目はユニフォーム等、用具の開発と提供を受ける事。これはナイキ以外のメーカーでも可能な事ですから私はさほど重要視していません。大切なのはもう一つの目的、先程もお話した様にマーチャンダイジング、つまり商品の開発とユベントスブランドの管理です。そこで我々はナイキの資金提供を受け新しい会社を設立しました。これはサッカー界において新たな試みといってもいいでしょう。その新会社にはジラウド氏やベッテガ氏、そして私が参加しています。ユベントスの社内に事務所を置き20人以上のスタッフと共に働いています。新しい会社には主に3つの仕事があります。一つ目はユベントスの直営店を運営する仕事です。イタリア国内のガゼッレ空港やパレルモトリノにある直営店を運営しています。直営店にする事で無駄なコストを省くだけではなく、購買者にしてみればオフィシャルな物を買っている価値が付随してきます。それは商品のブランド化にも繋がっているのです。そして二つ目はサッカースクールを広める仕事です。3つ目はユベントスのブランドを管理する仕事。この3つの仕事を新しく設立したユベントスマーチャンダイジングで行っているのです」





ナイキの協力の下、ユベントスは世界各地にサッカースクールを展開しようとしています
ユニフォーム等の商品を全世界に浸透させるのと同じ様にユベントスというチームブランドを世界に進出させる為です




ロミーガイ
「サッカースクールを広める事はユベントスとナイキにとってとても大切な事になります。ナイキとのコラボレーションでユベントスと名のついたサッカースクールを世界中に広めていく予定です。イタリア国内では既に60箇所以上ものサッカースクールを開校しました。トリノのあるピエモンテ州は勿論の事南部も北部もイタリア全土に広がっています。さらに海外でもカナダで開校しましたし、メキシコでもつい最近開校しました。今後は南米でも展開したいですし、勿論アジアへの進出も視野に入れています」




世界進出を狙うユベントスにとってアジアは魅力溢れる一大マーケット
ユベントスブランドをアジアで確固たるものにする為に今年ユベントスは初めてアジアツアーを行いました




ロミーガイ
ユベントスというブランドの価値や知名度、選手達の知名度が何処の地域で高いのか、またグッズの売れ行きが良いのは何処の都市なのか。私達は独自の分析を行いそれらの事を全て把握しています。それだけで無くオフィスの地図には分析結果が全て記されています。ですからいかにアジアが重要なマーケットであるかは十分に把握しています。そして私は一つの国に注目しているんです。それは日本です。アジア1の規模を誇る大きな市場に私は注目しています。2002年のワールドカップ以降日本が世界のサッカービジネスから注目されていたにも関わらず、残念ながらユベントスのアプローチはかなり遅いものになってしまいました。ナイキと組むまで我々は世界に目が向かなかったのです。しかしこうして1996年のトヨタカップ以来ユベントスが日本に戻ってこられたのは大きな収穫でした。今後ユベントスが日本により進出してい行く事を是非期待していて下さい」




ナイキとの契約でチームブランドが世界に浸透し、魅力溢れる企業となったユベントスにさらなる朗報が届きます




ロミーガイ
「これは最近の事ですが、ターモイルという企業と10年間のメインスポンサー契約が成立しました。私達はナイキに引き続き最高のパートナーにめぐり合えたのです。ターモイル(TAMOIL)と契約出来た事で我々はさらに大きな事業計画を立てる事が可能になりました。そしてもう一つ間もなく3社目のスポンサー契約が成立するはずです。まだ企業名は明かせませんがこの会社の名前は来シーズンから私達のスタジアム名になるでしょう。ユベントスという企業が世界的に有名な3つの企業と提携するのです。今までには無かったサッカービジネスにチャレンジする事もあるかもしれません」




昨シーズンまでカップ戦のみのスポンサーだったターモイルが来シーズンからリーグ戦も含めた総合的なスポンサーに変わります
ロミーガイが推し進めてきたスポンサー戦略がユベントス企業価値を魅力的な物にした結果です
そして来シーズンナイキとターモイルのロゴを胸に付けたユベントスが好成績を残せばさらにユベントスという企業のさらに高まるのです