FUTBOL MUNDIAL #721●特集2：DCユナイテッド

●特集2：DCユナイテッド
 MLSの強豪、DCユナイテッドの将来に向けたプランとは？

アメリカ合衆国の首都ワシントンDC
ＭＬＳメジャーリーグサッカーで最も成功を収めているDCユナイテッド（D.C. United）の本拠地です
創立１２年目。リーグで最も多くのタイトルを獲得している強豪ですが、アメリカでは順位と同じ位人気も大切です
クラブの会長兼ＣＥＯ、ケビン・ペインに聞きます

kevin payne
「知名度ではうちがＭＬＳナンバー１ですよ。確かにベッカムは有名ですが所属するギャラクシー（Los Angeles Galaxy）はどうでしょうか？その点うちは海外でも知られています。国際舞台で成功して、南米の選手もいますしね」

その代表格は元ボリビア代表のマルコ・エチェベリ（Marco Etcheverry）
２００３年に引退するまで８年間をＤＣユナイテッドで過ごしました
先ごろ９７年にリーグを制覇したメンバーが集結して引退試合も行われています
愛称は悪魔を意味するエル・ディアボロ（El Diablo）
９０年代の３度の優勝に貢献し、９８年にはリーグＭＶＰでした
引退試合でも決勝ゴールを決めて有終の美を飾っています
ペナルティエリア内で倒されて得たＰＫを難なく決めたのです
現在はクラブのアカデミーでテクニカルアドバイザーを務め、地元出身のタレントを育てています

首都に住む子供達が育成プログラムによって、やがてはトップチームでポジションを争う選手へと成長する
それがクラブの青写真です

kevin payne
「子供の競技人口ではアメリカが世界一なんですよ。でもアルゼンチンやブラジルには科学的な指導法があります。通りを歩いているだけで才能ある子が見つかるフリをしていても、実際は凄く秩序だった方法で育成しています。だから私達もそれを見習っているのです。楽しむサッカーを教える事に関してもアメリカが１流なんですが、才能のある子の力を伸ばすのはあまり得意とはいえません」

これまでは大学や地方のチームからタレントを集めていました
しかしＵ−１６やＵ−１８向けのアカデミーリーグの発足により、ここ２年間の育成は少しやり方が変わりました

john maessner
「今はアカデミーに入ってプレーするだけで大丈夫になったんです。今までより充実した練習が出来て、指導も一貫していますし、週末には試合もあります。子供達はサッカーに夢中ですから後は私達がより良い環境を作ってやるだけで、その為に今頑張っている所です」

Ｕー１８を教えるのはＭＬＳの選手だったジョン・マエスナー
またＵ−１６を指導するのはリヴァプールとエヴァートンのユースにいたリッチー・バークです

richie burke
「技術面ではあらゆる点でヨーロッパの若手と肩を並べられるレベルです。キック力に関してはヨーロッパが上かもしれませんが、たいした問題ではありません。それよりこの国の子供達に足りないのは戦術眼ですね。監督に頼り過ぎで自分の判断より教えられた事に拘ってしまうのは、そういう状況に慣れていないからだと思います。ヨーロッパでは小さい頃から教え込まれていますから、そこで何をすべきか自分で分かるんです。でもここでは手取り足取り教える感じなので、そこは多少問題ですかね」

以前に比べれば国内でのサッカーの扱いは大きくなりました
若者には大分広まっています
でもアメリカ発祥のスポーツには遠く及びません

chris hegngi
「一部にはサッカーを受け入れない人が居ますからね。人気が上がってきた事でバスケットやアメフト、野球等の脅威になると警戒しているんです。でも世界の他の国と同じ様に受け入れて貰いたいですね」

クリス・エンギーはトーマス・ロンゲン監督率いるＵ−２０代表のヨーロッパ遠征メンバーにも選ばれました
タレント探しは大変です

thomas rongen
「世界の他の国では選手の育成はクラブレベルで行われていますが、アメリカはＭＬＳが発足してまだ１２年目でユースプログラムが始まったのも２年前です。これまで若手の育成はサッカー連盟が中心でしたから大きな一歩ですがねぇ。ＭＬＳの各クラブにはイングランドやオランダの用に一貫したユースプログラムが出来るはずです。でも強豪国に追いつくのはまだ長い道のりですし、この先１０年ぐらいで何とかしたいと思っています」

今シーズンのＭＬＳプレーオフに進出したＤＣユナイテッド
９６年のリーグ発足以来９度目です
レギュラーシーズンはイースタンカンファレンスの首位で、ウエスタンも含めた全１３チームでも最多ポイントをあげました
得点数ではリーグトップ、失点数ではイースタンで最小でした

レギュラーシーズンの最終戦はプレーオフ進出を逃したコロンバス・クルー（Columbus Crew）とのゲームでしたが２対３で負けました
まるで練習試合の様なムードでした

クリスチャン・ゴメス（Christian Go'mez）はプレーオフに向けて順調な仕上がりでしたが、ディフェンスには気になる綻びが見られます
この試合２点目をあげシーズン通算１０ゴールとしたゴメス
しかしイースタンカンファレンス準決勝ファーストレグでのゴメスは不発でした
アウェーでシカゴ・ファイヤー（Chicago Fire）に０対１と敗れます

ＤＣユナイテッドでＭＬＳカップを２度手にしているベン・オルセン
１２シーズン目を迎えたリーグのレベルとは？

ben olsen
「ゲームのテンポが上がって運動量も増えたと思います。必ずしもレベルが上がったとは言い切れませんがね。発足当時からラテン系の影響でテクニックはあるリーグだったんです。でも今はテンポが上がって運動量が増えて、後は若手も多くなりました。アメリカ人の若手が成長してリーグで力を発揮していますよね」

若手を代表する存在だったフレディ・アドゥはもういません
ポストアドゥを探そうと必死のＤＣユナイテッドですが忍耐が大事です

D.C. United
http://dcunited.mlsnet.com/t103/index.jsp
http://en.wikipedia.org/wiki/D.C._United

Kevin Payne
http://dcunited.mlsnet.com/about/staff.jsp?team=t103&name=payne_k
http://en.wikipedia.org/wiki/Kevin_Payne_%28soccer%29

Ben Olsen
http://dcunited.mlsnet.com/players/bio.jsp?team=t103&player=olsen_b&playerId=ols177981&statType=career
http://en.wikipedia.org/wiki/Ben_Olsen

Marco Etcheverry
http://www.mlsnet.com/players/bio.jsp?team=mls&player=etcheverry_m&playerId=etc266972&statType=career
http://en.wikipedia.org/wiki/Marco_Etcheverry

Christian Go'mez
http://dcunited.mlsnet.com/players/bio.jsp?team=t103&player=gomez_c&playerId=gom165981&statType=career
http://en.wikipedia.org/wiki/Christian_G%C3%B3mez

Thomas Rongen
http://en.wikipedia.org/wiki/Thomas_Rongen

Freddy Adu
http://www.mlsnet.com/players/bio.jsp?team=mls&player=adu_f&playerId=adu029662&statType=career

FUTBOL MUNDIAL #700●特集2：バンクーバー・ホワイトキャップス
 http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20070611

FUTBOL MUNDIAL #696●特集2：トロントFC
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20070516

FUTBOL MUNDIAL #673●特集4：マイアミFC
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20061208

FUTBOL MUNDIAL #664●特集5：プエルトリコ・アイランダーズ
 http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20061005