FUTBOL MUNDIAL #757●特集3：ヘシュマット・モハジェラニ

７８年、イランはワールドカップ、アルゼンチン大会にアジアを代表して出場

イランで最も偉大なスポーツマンと言われる人物が指揮をとっていました

ヘシュマット・モハジェラニは既に７０歳代の人物ですが、イランサッカー界の巨人というだけで無く、ありとあらゆるスポーツを嗜んできました

heshmat mohajerani

「子供でしたからどのスポーツが一番良いかなんて分かりません。皆それぞれ違うスポーツをしていました。一番最初に私が練習したのは体操でした。７歳の頃に始めましたね。コーチは当時チャンピオンだったアリアズダール？でした。その後私は陸上競技に転向しました。８歳から１０歳、１１歳頃までの子供というものは近所を走り回って誰が一番早く走る事が出来るか競争するのが大好きです。そんな事から陸上をはじめたんです」

様々なスポーツで高い才能を発揮したモハジェラニが一番愛したのはサッカーでした

サッカー選手として成功した後イランのユース代表を指揮

この頃からイランサッカーは黄金時代に入ります

７２年のアジアカップで優勝

モハジェラニの指揮の下、４年後のアジアカップで２連覇を果たします

そして何といってもワールドカップ出場です

heshmat mohajerani

「当時ワールドカップに出場する事は極めて難しい事でした。出場枠はたったの１６。しかもアジアとオセアニアからは１カ国しか出場出来ませんでした。試合数が非常に多く、香港や韓国そしてオーストラリアとあちこち飛び回らなけばならなかったのです」

７４年にワールドカップに出場したオーストラリアが当時のイランにとって最大のライバルでした

しかしメルボルンで行われたオーストラリア戦に勝ち、テヘランでの試合も勝ってアルゼンチン大会出場を決めたのです

heshmat mohajerani

「ワールドカップ出場に繋がったオーストラリア戦は私のスポーツ人生の中で最も記憶に残る試合ですね。重要な試合でした。中でも特に鮮明に覚えている事があります。私は試合中だけで煙草を二箱も吸うチェーンスモーカーでした。今は禁煙家で人にも煙草は薦めません。喫煙する事の危険は身をもって十分に分かっていますからね。でも当時は違いました。ベンチに座っている時に煙草をきらしてしまったので、観客席の前に行き２本の指を立てて煙草を切らしたというジェスチャーをしました。すると突如煙草が私に雨あられと降り注いだのです」

しかし本大会では世界のレベルを思い知らされます

７４年大会準優勝のオランダと初戦でぶつかり、0対３で完敗

次の対戦相手はスコットランド

その試合を前にイランは思いもかけない人から貴重なアドバイスを受けます

heshmat mohajerani

「スコットランド戦対策の為に試合前の６ヶ月間アシスタントのシャラフィー？をマンチェスターに住まわせ情報を集めさせました。シャラフィー？はケニー・ダルグリッシュ（Kenny Dalglish）とジョー・ジョーダン(Joe Jordan)の情報を持ち帰ってきました。ですからこの二人は十分に研究出来ましたが、後々スコットランドの中心選手がアーチー・ゲミル（Archie Gemmill）だということが発覚したのです。元々スコットランド戦ではマークにダライファルド（Iraj Danaeifard）は使わないつもりでしたが、シャラフィーはアーチー・ゲミルのマークにダライファルドを付けるべきだ主張したんです。妙な事にシャラフィーはこのアドバイスをイングランドサッカー協会のテクニカルアドバイザーから貰っていました。貴重なアドバイスになりましたね」

イランの作戦に嵌ったスコットランド

中々ゴールへ繋がるチャンスを作り出す事が出来ません

所が前半終了前イランはラッキーなプレゼントを与えてしまいます

エスカンダリアン（Andranik Eskandarian）のオウンゴールでスコットランドが先制しました

しかしスコットランドはそこから先はありませんでした

そしてイランに絶好のチャンスが訪れます

ダナイファルド（Iraj Danaeifard）が同点ゴール

1対１のドローという結果は30年経ってもイランでは評価されています

しかしペルー戦に敗れ、イランはグループ最下位で敗退します

モハジェラニは力を出し切れなかったと悔やみました

heshmat mohajerani

「スコットランド戦でもペルー戦でもオランダ戦でもイランは全ての力を出し切る事が出来ませんでした。イランにはもっと力があったはずです。事実ワールドカップ開幕前にはもっと良いパフォーマンスを見せていましたからね。でも初めてのワールドカップで選手も緊張していたんでしょう。後になってどれ程のビッグチャンスを逃したかを思い知らされました」

しかしミスを取り返す事は出来なくなりました

翌年イラン革命が起こり、イランのスポーツは後退の道を辿ります

サッカーが復興するまでに２０年かかりました

モハジェラニはその後ＵＡＥの代表監督に就任し、チームを９０年ワールドカップ出場へ導きます

現在再びイランに戻り今やイランサッカー界の大御所と呼ばれています

成功の哲学は今も昔も変わりません

heshmat mohajerani

「監督という仕事は大好きですし、選手に対して忍耐力もあります。イランユース代表を指揮した経験は私の後の監督人生において欠かせないものです。ＵＡＥでも同じやり方で数多くの若手をＡ代表に送り込み、満足のいく結果を出しました。監督はテクニカルな知識だけで無く、忍耐強くなければなりませんし監督という仕事を愛していなければなりません。私はこの全てを持ち合わせていると思います」

heshmat mohajerani

http://en.wikipedia.org/wiki/Heshmat_Mohajerani

1978 FIFA World Cup squads
No. Pos. Player DoB/Age Caps Club
1 GK Nasser Hejazi 14 December 1949
Flag of Iran Shahbaz F.C.
2 MF Iraj Danaeifard 19 March 1951
Flag of Iran Taj
3 FW Behtash Fariba 11 February 1955
Flag of Iran Pas F.C.
4 FW Majid Bishkar 6 August 1956
Flag of Iran Rastakhiz F.C.
5 DF Javad Allahverdi 16 July 1954
Flag of Iran Persepolis F.C.
6 MF Hassan Nayebagha 17 September 1950
Flag of Iran Homa F.C.
7 MF Ali Parvin 12 October 1946
Flag of Iran Persepolis F.C.
8 MF Ebrahim Ghasempour 24 August 1956
Flag of Iran Shahbaz F.C.
9 MF Mohammad Sadeghi 17 March 1951
Flag of Iran Pas F.C.
10 FW Hassan Rowshan 2 June 1955
Flag of Iran Taj
11 DF Ali Reza Ghesghayan 27 February 1954
Flag of Iran Bargh Shiraz F.C.
12 GK Bahram Mavaddat 30 January 1950
Flag of Iran Sepahan F.C.
13 FW Hamid-Majid Tajmuri 3 June 1953
Flag of Iran Shahbaz F.C.
14 DF Hassan Nazari 19 August 1955
Flag of Iran Taj
15 DF Andranik Eskandarian 31 December 1951
Flag of Iran Taj
16 FW Nasser Nouraei 9 July 1956
Flag of Iran Homa F.C.
17 FW Ghafour Jahani 18 June 1950
Flag of Iran Malavan F.C.
18 FW Hossain Faraki 19 April 1956
Flag of Iran Pas F.C.
19 DF Ali Shojaei 23 March 1953
Flag of Iran Sepahan F.C.
20 FW Nasrollah Abdollahi 2 September 1951
Flag of Iran Shahbaz F.C.
21 DF Hossein Kazerani 13 April 1947
Flag of Iran Pas F.C.
22 GK Rasoul Korbekandi 27 January 1953
Flag of Iran F.C. Zob Ahan

http://en.wikipedia.org/wiki/1978_FIFA_World_Cup_squads#Iran