FUTBOL MUNDIAL #590●特集４ ボヘミアンズ・プラハ
２００５年３月、チェコの首都プラハのバーにボヘミアンズ・プラハのファン２００人以上が集まりました
創立１００周年のボヘミアンズですが、お祝いムードとは程遠い状態
１２０万ユーロを超える負債を抱え破産宣告を受け、２部リーグから追放されました
国内リーグでは前例の無い出来事です
これで完全に終わりかと思われましたが、一部のファンが立ち上がります
martin slavik
http://fecha.blog3.fc2.com/blog-entry-213.html
「今日の集まりはボヘミアンズフットボールクラブのサポートをする目的で開かれました。チェコで人気のミュージシャンも駆けつけてくれたんですよ。入場料は特に決めていないんですが、クラブへの募金として任意で頂いています。結果としてボヘミアンズを助ける事に繋がりますからね。私たちが見込んでいたより多くの額が集まっていて本当に嬉しく思いますよ」
１９２７年にプレシーズンツアーでオーストラリアを訪れた事から愛称はカンガルーズ。国内屈指のクラブです
１９７７〜８７年までの１０年間はプラハの強豪デュクラ（Dukla Prague）やスパルタ以上の活躍を見せました
ヨーロッパでも力を発揮し、１９８３年にはＵＥＦＡカップでベスト４進出
唯一のリーグ制覇を達成したのも同じ年でした
martin slavik
「当時のボヘミアンズは本当に強かったんです。８２−８３シーズンがピークでチェコスロバキアリーグで優勝しました。アントニン・パネンカやプレミスル・ビチョフスキー、ズドニエフ？・フルスカ？をはじめとして素晴らしいメンバーを誇っていたんです。彼らはチェコスロバキア代表でもチームの中心的な存在でしたね」
栄光の日々は遠い昔、スタジアムは閉鎖
緑と白のストライプでプレーするのはユースチームだけです
その中にはクラブが無くなる前にトップチームでピッチに立ったメンバーもいました
下部リーグからの再出発に必要な加盟料を集められれば彼らが新しいチームの中心になります
martin slavik
「最優先に考えているのは次のシーズンから３部リーグで十分戦える資金を集める事です。主導権を握る様になったのは２月の始めからでした。リーグの後半戦でプレー出来なくなったと知らされてサポーターで組織を作りました。クラブがリーグで戦いながら創立１００年目を祝える様に資金面を何とかしたかったんです」
マルティン・スラビクはＤＦＢ或いはＳＯＳカンガルーズと呼ばれる組織のメンバーで、クラブのＯＢに対して受け取れるはずだった報酬を放棄してくれる様呼びかけています
クラブ史上最高のスターだったパネンカは１万６千ユーロを放棄し、そして組織の副代表に就任しました
antonin panenka
http://fecha.blog3.fc2.com/blog-entry-214.html
「このクラブに２３年も関わって来た私にとっては本当に悲しい事です。選手や監督としてだけでなく、フロント内部での仕事もしていましたからね。ボヘミアンズは私がキャリアを築いた場所です。これだけの伝統を誇るクラブがまさかこんな状況に陥るとは思ってもみませんでした。まるで悪い夢を見ている様な気分です。目が覚めたら何もかも丸く収まっているといいんですけどね」
資金集めを目的としたゲームも開催。国内の各クラブのＯＢもボヘミアンズの為に一肌脱いでくれました
白い髪と重そうな身体が目立つ中、時折往年のテクニックを見せる選手達
ゴール前で力尽きてしまう選手もいましたが、ご愛嬌
ＤＦＢがこれまで集めた資金は９万ユーロ程、まだ債権者への返済破産による罰金を賄うには長い道のりです
観客のお待ちかねはパネンカの１８番チップキック
ユーロ７６の決勝で西ドイツ相手に決めたＰＫは語り草です
パネンカはチェコスロバキア優勝をもたらしました。果たして今回は？
antonin panenka
「クラブを救おうという今回の活動が希望の光になるといいですね。これを切っ掛けに財力のある投資家が興味を持ってくれるかもしれません。誠実で信頼が出来る人がいいですね。私たちの偉大なクラブボヘミアンズが存続していける様な資金計画を持った人が来てくれるよう願っています」
martin slavik
「６月の半ばまでに答えを出さなければいけません。次のシーズンに向けたリーグへの加盟期限がそれまでなんです。ですからこの先２ヶ月で結果を出す事です。それが出来なければ、この素晴らしいクラブの歴史にピリオドがうたれてしまいますからね」
遠くベネズエラやオーストラリアから問い合わせがありました
チェルシーのロマン・アブラモビッチオーナーには手紙を送りました
億万長者が幾らか都合してくれれば、カンガルーはこれからも飛びまわれるはずです
CU Bohemians Praha（ボヘミアンズ・プラハ）
http://www.bohemians.cz/
