FUTBOL MUNDIAL #603●特集4:シェルボーン対グレントラン

●特集4:シェルボーン対グレントラン
チャンピオンズリーグの予備予選で実現した、2つのアイルランドの対戦を取材。

2005−2006シーズンのチャンピオンズリーグは予備予選一回戦から好カードが実現しました
例えば北アイルランドアイルランドのチャンピオン同士、グレントラン対シェルボーン
ただこの対戦はセキュリティーの不安がありました
ベルファーストでのファーストレグは7月、プロテスタント勢力による恒例のマーチシーズン?の最中です
この時期毎年の様にカトリック勢力との衝突が起きています



ジャーナリストの意見を聞きましょう



steven beacom
「皆さんは政治とサッカーは別物だと思うでしょうけど、この地域ではそうはいきません。強烈なライバル意識を持って北は南を、南は北を倒したがっているんです。ただ今回の対戦ではシェルボーンがグレントランに来た時は温かく迎えられました。今年初めに国境を越えての対戦が初めて実現して大成功を収めたんです。北と南のクラブ同士の関係改善にも繋がりました。グレントランがダブリンに乗り込むセカンドレグもトラブル無く終わって欲しいですね。素晴らしいゲームを期待していますし、サッカーが政治での歩み寄りに貢献するかもしれません」




ファーストレグはアウェーのシェルボーンが2対1で勝ちました
シェルボーンとは違い、グレントランのメンバーはプロではありません
中心選手のコリン・ニクソンは営業マン。北アイルランドのサッカーをこう分析します




colin nixon
「レベルは凄く高いですよ。プレシーズンの親善試合でイングランドスコットランドのクラブと対戦しても良い結果を出しています。プロの選手とも互角に戦っているんです。ただパートタイムだとさらに上を目指すのはどうしても難しくなりますけどね」




トップクラブすら集客に苦しむ北アイルランドでプロリーグの発足は期待出来ません
グレントランのオーバルグラウンドでも平均入場者数は2000人足らず
クラブもファンもベルファーストの東部にルーツを持っています
造船業が盛んだった頃は6万人の労働者がいました。有名なタイタニック号もこの地で作られたのです
しかし現在は高い失業率に苦しんでいます




対照的にベルファーストの中心部は好景気に沸いています
1994年の停戦から4年後、グッドフライデー合意によって和平合意が実現し平和が保たれているからです
観光客が増え、経済も急成長
ただエアチケットが安くなった事が地元のサッカーへの関心を薄れされてしまいました




steven beacom
「皆50ポンドで航空券を手に入れて、リヴァプールマンチェスターユナイテッド、レンジャース、セルティックを見に行ってしまいます。地元のクラブにとってはそれが悩みの種ですね。どれも魅力的なクラブでワールドクラスの選手がいてスタジアムも立派で観戦にはもってこいです。それに引き換えオーバルときたらベストには程遠いスタジアムですからね」




一方アイルランドリーグでは複数のクラブが2001年からプロ化しました。シェルボーンもそうです
04−05シーズンにはチャンピオンズリーグの本選出場まで後一歩でした
レイキャビック(KR Reykjavik)、ハイデュク・スプリト(HNK Hajduk Split)をやぶりましたが、デポルティーボに敗れました




pat fenlon
「夏の間もプレーする様になってレベルアップしていますよ。ヨーロッパへの挑戦に向けても良い準備が出来る様になりました。先週は海外のチームとの親善試合で3戦3勝。久々の好成績です。間違いなく力は付いていますし良い選手も補強して準備も万全です」




ヨーロッパの舞台での北アイルランドアイルランドの対戦は1984年以来の事
1979年のウィーンフィールド対ダンドーク?ではセキュリティ上の問題でセカンドレグがオランダで行われましたが、時代は流れそれ程の心配は無くなりました


1万人のファンの前で先制ゴールをあげたのはシェルボーンのキャプテン、オーウェン・ヒーリー(Owen Heary)
アウェーのグレントランはピーターマッカン(Peter McCann) が決めて同点に追いつきます
ただ2点差で勝たなければ2回戦には進めません
所がポールリーマン(Paul Leeman)がエリア内でのハンドで退場処分になり、PKはジェーソンバーン(Jason Byrne)に決められてしまいます
この試合もシェルボーンが再びリード
結局シェルボーンは4対1で勝ち、2試合合計でも6対2として2回戦進出を決めました


次はルーマニア王者のステアウアブカレスト戦です
両クラブがフェアプレー精神の下で歩み寄った事はサッカーの可能性を感じさせる大きな収穫でした






Owen Heary
http://www.shelbournefc.ie/squad.php?type=1&squadid=3





Jason Byrne
http://www.shelbournefc.ie/squad.php?type=1&squadid=19





Peter McCann
http://www.glentoran.net/squad1-3.htm





Paul Leeman
http://www.glentoran.net/squad1-2.htm





シェルボーン
http://www.shelbournefc.ie/




グレントラン
http://www.glentoran.net/





KRレイキャビク
http://www.kr.is/




ハイデゥク・スプリト
http://www.hnkhajduk.hr/