FUTBOL MUNDIAL #710●特集3:SSムラタ

●特集3:SSムラタ
サンマリノ史上初めてチャンピオンズリーグに挑んだSSムラタ。

歴史あるサンマリノ共和国(San Marino)
現存する世界最古の共和国です
301年、ローマ皇帝によるキリスト教徒の迫害から逃れる為、マリヌス(Saint Marinus)という石工がこの地に国を作ります
要塞と城で侵略者を防いでいました


今は年間300万人という観光業が経済の基盤です
四方をイタリアに囲まれた61平方キロメートルの小さな国で人口は3万人足らず


イタリア人同様サンマリノの人々もサッカーが大好きです
マチュアながらリーグは1930年代から続いています


現在国内リーグは9つの自治区からなる15チームが鎬を削ります
リーグ王者のムラタ(S.S. Murata)は今シーズンUEFAチャンピオンズリーグに初参戦
予選1回戦でフィンランドタンペレ(Tampere United)と対戦します
サンマリノ史上初めてヨーロッパ最高峰の舞台に挑めるのは誇りです



libero casadei
「本当に素晴らしい事です。サンマリノのクラブがヨーロッパのクラブで戦える様になったのは、この国のサッカーにとって追い風です。今シーズンチャンピオンズリーグに出られて光栄ですよ。でもその資格は十分あると思います」



83年からクラブの会長を務めるリベロ・カサディ
40年以上前の発足時から小さな村のクラブを支えています
サンマリノの中ではそれ程名門でも無く、強豪でもないムラタ
しかしここ2シーズンで連覇を達成しチャンピオンズリーグ
周辺のクラブから羨望の的になりました



libero casadei
「活動を始めたのは62年か63年です。私を含めて数人のメンバーが中心でした。サンマリノには既に5つのクラブがあって、それに続きたかったんです。本当にゼロからのスタートでユニフォームやスパイクも全て自腹でね。どんな所でも練習やプレーを続けて、65年から66年位にようやくクラブ創立に漕ぎ着けました。ムラタは小さな村で人口も数千人ですが皆が応援してくれていますよ」



今シーズンは94年のワールドカップの優勝メンバー、アウダイール(Aldair)の加入で大騒ぎ
3年のブランクがあった41歳の元ブラジル代表ですが、キャプテンのマッシモ・アゴスティーニ(Massimo Agostini)に説得され引退を撤回しました
かつてローマを支えたアウダイール
チャンピオンズリーグ限定の出場でサンマリノ王者をサポートします



pasquale d'orsi
アウダイールは本当に最高ですし、格が違います。ワールドカップ優勝メンバーですから知らない人は居ませんしね。それなのに凄く謙虚でチームへの溶け込み様にはビックリです。僕らにとって大事なゲームの為に一肌脱いでくれて、実際素晴らしいプレーをしてくれています」



戦前の予想ではタンペレの圧勝
しかしアウダイールを軸にムラタは相手の猛攻を次々と跳ね返します
そして前線ではクリスチャン・プロッティ(Cristian Protti)が前半終了間際にまさかの先制ゴールを奪いました
しかしタンペレは後半途中に追いつき、残り2分で決勝ゴールを奪いました


ムラタのジャン・ルイジ・パスクワーレ監督です



gian luigi pasquali
「素晴らしい戦いをしてくれた選手を誇りに思います。でも正直昨日の夜は残り僅かで決勝ゴールを許したのが悔しくてね。確かに厳しい挑戦です。仕事があるので練習時間は限られていますし、仕事と家庭とサッカーを同時にやらなければなりません。皆上さんや彼女とはしよっちゅう喧嘩ですよ。私の事はどうでもいいのって怒られるんです」



ミッドフィルダーのロベルト・テオドラーニも仕事があります
空いた時間にヨーロッパのエリートと対戦するのです
平日は輸出用の隠元豆を栽培し、パッキングする父親の会社へ
ピッチで結果を残す為の準備はとても出来ません
それでもサッカーを辞める気は無いようです



roberto teodorani
「こんな試合でプレー出来ると自分が違う人間になった気がします。次の日に仕事へ行くと何だか不思議な気分ですよ。同時進行で二つの人生を生きている感じで、たとえ一日だけでも素晴らしい経験です。チャンピオンズリーグの様な大会でプレーして、新聞やインターネットで自分の名前がミランの様な人気チームの横に載っているなんてね。凄く誇らしいし最高です」



ムラタはフィンランドでのセカンドレグも0対2で敗れました
ヨーロッパへの挑戦は終わりでも手ごたえは十分
次こそはと意気込んでいます



gian luigi pasquali
「ヨーロッパの舞台で国内リーグと同じ様に互角に戦いたくても実際は難しいですからね。今は使える資金も少ないですしね。でも来シーズンは今回以上の成果をあげたいと思っています。そうすれば今シーズンアウダイールと契約した様に次回も注目を集められるはずです。私達が頑張る事は将来的にサンマリノのサッカーにプラスになりますしね」




サンマリノはサッカーの大国ではありません
それでもムラタのチャンピオンズリーグでの頑張りは、世界最古の共和国のサッカーに明るい未来を感じさせるものでした





S.S. Murata
http://www.uefa.com/footballeurope/club=64511/domestic.html
http://www.fsgc.sm/sources/comp_societa.asp?id=1087&id_squadra=11
http://en.wikipedia.org/wiki/S.S._Murata





Aldair
http://en.wikipedia.org/wiki/Aldair



Massimo Agostini
http://it.wikipedia.org/wiki/Massimo_Agostini




Tampere United
http://www.tampereunited.com/
http://en.wikipedia.org/wiki/Tampere_United




Age no barrier for Murata's Aldair
http://www.uefa.com/competitions/ucl/news/kind=1/newsid=561502.html


S.S. Murata 1-2 Tampere United
A late goal from Jari Niemi, his second of the night, swung the tie firmly in the Finnish visitors' favour and raised hopes of a meeting with PFC Levski Sofia. Murata, the first team to represent San Marino in the competition, boasted FIFA World Cup-winner Aldair, now 41, in their starting lineup and his quality helped them take the lead just before half-time with Cristian Protti's right-foot shot. Murata, who had seen Roberto Teodorani hit the post earlier, were to concede twice in the second half though with Niemi's precise finishing leaving Murata with it all to do a week tomorrow.
http://www.uefa.com/competitions/ucl/news/kind=1/newsid=561751.html

Tampere United 2-0 S.S. Murata (agg: 4-1)
After a 2-1 victory in San Marino last time, the Finnish club were always confident of confirming a tie against PFC Levski Sofia. That was underlined in the opening minutes when Tomi Petrescu fired into the top-right corner from 18 metres. Tampere's lead on the night was soon doubled when Petrescu turned provider for Jari Niemi to score from close range. Murata were barely in the contest and had to wait an hour for their first chance.
http://www.uefa.com/competitions/ucl/news/kind=1/newsid=564398.html



Saint Marinus
http://en.wikipedia.org/wiki/Saint_Marinus




Jスポーツ
http://www.jsports.co.jp/program/info/19711.html