FUTBOL MUNDIAL #762●特集3:スリナム代表
全員が国内のアマチュアリーグでプレーするスリナム(Suriname )代表への期待はそれ程高くありませんでした
所がガイアナ(Guyana)を下すサプライズを起こします
スリナムサッカー連盟は1920年に創立
29年にFIFAに加盟しましたが代表チームは目立った成果を残していません
過去12度のワールドカップ予選はいずれも敗退
78年に一度だけ最終予選に進みましたが、結果は全敗でした
オリンピックやFIFAの主催大会にも出た事がありません
ですから久しぶりのワールドカップ3次予選進出に沸いています
kenneth jaliens
「戻ってきてビックリしましたよ。大歓迎されて良くやったと絶賛してもらえましたからねぇ。国中のマスコミが集まっていた上に揃って好意的な記事を書いてくれた事や、質問の内容も意外でね。私達は目標を持っていて、でも簡単には届かない事が彼らにも理解してもらえた様です。実現するには皆が一丸とならなければいけません」
監督のケネス・ヤリエンスは49歳
AZに所属するオランダ代表ディフェンダー、ケウ・ヤリエンス(Kew Jaliens)の叔父です
2006年に監督に就任し、翌年のカリビアンネーションズカップでは1次リーグを突破させました
kenneth jaliens
「教師をしているので昼の12時半までは授業があります。家に戻るのが1時15分から1時半の間で、それから着替えをして家族共一緒にすごすんです。でも練習に遅れてしまうので休む暇はありませんけどね。スリナムでは午後に昼寝をする習慣があるので私も選手も辛い所ですが犠牲を払う覚悟は出来ていましたよ」
プロリーグが無いのも辛い所
メンバーは全員アマチュアで、12チームで争う国内リーグは金土日の3日間に開催されています
大半のメンバーは昼間学校や仕事へ行き、週3日夕方に練習しています
代表入りメンバーで公務員のマーロン・フェルテルです
marlon felter
「スリナムではサッカーをしてもお金を貰えないのは当たり前ですし、生活の為には仕事をしないといけません。だから選手達も働いてから練習に行くのには慣れています。実際にそういう状況なんですから仕方が無いですよ。代表チームのメンバーが周りの協力で仕事を休める様になれば最低でも1日2回は練習出来ます。そうなってくれれば良いんですけどね」
実現すれば人口50万人に満たない小さな国にとっては大きな意味を持つはずです
才能はあってもそれを育むチャンスに恵まれていません
marlon felter
「確かに僕らはアマチュアです。それでもガイアナに勝ったんですからね。十分なサポートを得られる様になって、仕事に行かなくても大丈夫になり、プレーだけに集中出来るとしたら、間違いなく成長していけると思うんですけどね」
オランダリーグにはスリナム出身の選手が大勢居ます
オランダ代表になれるのはほんの一握り
オランダ代表入りを逃した選手達には母国での代表入りを勧めたい所ですが、スリナムでは2重国籍が認められていません
ただ法律改正の可能性も探っている所で実現すればサッカー連盟にとって追い風になるでしょう
louis giskus(スリナムサッカー協会会長)
「オランダや他の国でプレーしている選手を含め、力のあるメンバーを揃えたスリナム代表がこの地で戦う姿を是非見てみたいですね。それが可能になれば強いチームが出来ますよ。ただスリナムの法律では2重国籍が認められていないので、実現には政治的判断が必要ですけどね。法律が変わればワールドカップの本大会出場も夢ではないと思います」
スリナムにルーツを持ちオランダ代表入りしたメンバーを見ればその可能性は十分です
エドガー・ダービッツ(Edgar Davids)、パトリック・クライフェルト(Patrick Steven Kluivert)、クラレンス・セードルフ(Clarence Seedorf)、ルート・フリット(Ruud Gulli)、フランク・ライカールト(Frank Rijkaard)、沢山居ます
サッカー界では長く過小評価され見過ごされてきたスリナム
コスタリカ(Costa Rica)、エル・サルバドル(El Salvador)、ハイチ(Haïti )と対戦するワールドカップ3次予選で歴史を変えられると監督は信じています
kenneth jaliens
「グループ2位以内に入る可能性はありますよ。例えばハイチとは去年マルティニーク(Martinique)で対戦しましたが、うちの方が押していて残り5分で追いつかれたんです。コスタリカのゲームを見た時も、相手のグレナダ散々なのにそれより少しマシというぐらいでね。だからコスタリカ戦でも十分やれると思います。自分達を信じていますし、チャンスはありますよ。スリナムにとって大きな成果になるはずですしね」
様々な文化や言葉、宗教が混在するオランダの旧植民地スリナム
国の場所さえ分からない人が多いかもしれませんがサッカー界への貢献度を考えればもっと注目されて良いはずです
kenneth jaliens
「チームスタッフと一緒に6年計画を立て今の若いチームでワールドカップへ行くという目標を連盟に説明しました。平均年齢は23歳でベテランも何人か居ますが、それも若手がまだ育っていないポジションだけです。計画は2014年までで、このまま順調に行けば6年後には組織としてもしっかりして、あらゆる面がスムーズになるはずです。2014年のワールドカップに出場出来る最適な状況を作りたいですね」
Suriname national football team
http://www.fifa.com/associations/association=sur/index.html
http://en.wikipedia.org/wiki/Suriname_national_football_team
kenneth jaliens
http://en.wikipedia.org/wiki/Kenneth_Jaliens
Kew Jaliens
http://en.wikipedia.org/wiki/Kew_Jaliens
Caribbean Championships 2008
http://en.wikipedia.org/wiki/Caribbean_Nations_Cup_2008
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