FUTBOL MUNDIAL #767●特集3:スポルティング・クリスタル

90年代半ばペルーリーグ三連覇を果たしたスポルティング・クリスタル
これはウニベルシタリオ(Universitario de Deportes)とアリアンサ(Club Alianza Lima)というリマの2強時代の終焉を暗示させるものでした

97年にはコパリベルタドーレス決勝に進んだクリスタル
ブラジルの強豪クルゼイロの前に敗れましたが健闘を見せました
この時はクリスタルの伝説のプレーヤー、フェルナンド・メランも出場していました



fernando mellan
「あの日ジュニーニョ(Julio César de Andrade Moura)のゴールが決まっていたらクリスタルが優勝できていたかもしれません。でもジダのスーパーセーブに阻まれたのです。優勝は後一歩と迫った所だったのに。でも少なくても南米中にクリスタルの存在をアピールする事には成功しました。ペルーのクラブがコパ・リベルタドーレスで決勝まで進出できたのは、ペルーサッカー史上2度目の快挙でした。ペルー国民にとっても忘れられない経験となりましたよ」



スポルティング・クリスタルの名は広く知られる所となりました
2002年と2005年にもかつてレアル・マドリード*1で活躍したペルーの伝説のスター、ホセ・デルソラール(José Guillermo Del Solar)の下ペルーチャンピオンに輝いています
クリスタルの右に出るものは無い時代でした


20年近くクラブの役員を務めてきた現会長のフランソイス・ムジカ
常に前進的な考えを持ちクラブの運営を行ってきました



francois mujica*2
「ペルーのクラブの中で公開有限責任会社となったのは我々が初めてです。これはクラブをより効率的に運営する為の策です。その為我々は元の非営利団体の全ての権利を公開責任会社に移行し、企業としてクラブの運営をスタートさせました。この選択が成功だった事は既に証明済みですよ」



プロのサッカーアカデミーもそういった前進的な考えの一つです
クリスタルで40年の経験を持つフェルナンドメランによって運営されるアカデミーは未来への登竜門
現在のクラブキャプテン、ロベルト・パラシオスにとってもそうでした



roberto palacios
「今の私達があるのは全てアカデミーのおかげといってしまっても過言ではありません。アルベルト・ガジャルド(Alberto Gallardo)やフェルナンド・メランは、このクラブの理念をここで私達に教えてくれました。彼らが良いサッカーのプレーの仕方を教えてくれたのです。レベルアップの仕方も練習のやり方も全て教えてもらいました。私達一人一人を個々に特訓して、プロサッカー選手としての基盤を作ってくれたのです」




代表戦122試合、ペルーサッカー史上最多キャップ数を持つロベルト・パラシオス
ピッチの中でも外でもクリスタルをリードする存在です
この15年ペルーのベストプレーヤーの一人として広く知られてきました
彼は昨年サッカー選手としてのキャリアをスタートさせたクリスタルに復帰しています



スポルティング・クリスタルは、1955年にリカルド・ベンティン・ムヒカ(Ricardo Bentín Mujica)によって創設されました
54年にペルー最大のビールビール会社を買収したベンティンは、この会社を代表するクラブを設立する事を決め、経営危機に瀕していたスポルティング・タバコ・クラブ(Sporting Tabaco)を買収し、ビール会社の代表的製品だったクリスタルビールの名を取り、スポルティング・クリスタルと名づけたのです



francois mujica
「リカルドの元々の理念は、サッカー選手をあらゆる面からサポート出来るペルー初のクラブ設立でした。当時その様なクラブはペルーには存在しませんでしたからねぇ。スポルティング・クリスタルは全選手と正式な契約を交わしたペルー初のクラブです。私達はクラブに対する不満は全くありませんし、他の選手や監督と喧嘩した事だって一度もありません」



昨年6月スポルティング・クリスタルはウニベルシタリオと前期リーグ優勝の座を争っていました
ペルーサッカー協会が一時的にタイトルレースの中断を決定
一ヵ月後に再開されましたがクリスタルは突然の中断に調子を崩し、ウニベルシタリオにタイトルを奪われました


クリスタルの監督でペルーの伝説のスター、ファン・カルロス・オブリタスを含む多くの人がペルーサッカー協会の責任を追求しました



juan carlos oblitas
「シーズン残り5試合の時点で突然中止されたのです。あまりに馬鹿げていて聞いた時は笑ってしまいましたよ。何の予告も無くリーグが一ヶ月間中断されたのです。ペルー代表がメキシコとスペインとの的外れな親善試合を戦う為でした。おかげで選手達の調子を取り戻せるのに5日間かかりました。それにリーグ再開に備えて準備もしなければなりませんでした。なのにペルーの人達は何も文句を言いませんでした。協会側と話し合いをしてもまるで壁に向かって話す様なものですからね」



リーグ優勝15回、コパリベルタドーレスの出場はペルー記録となる26回を誇るスポルティングクリスタル
今やペルーを代表するクラブです
しかし成功が必ずしも歓迎されているというわけではありません



roberto palacios
シエンシアーノ(Club Sportivo Cienciano)はクリスタルを通してペルーサッカー界の進むべき道を示しました。成功すれば中には妬みから心無い事を言う人も出てきます。それも当然の事でしょう。でも皆批判するのはやめて、我々が歩んできた道に従うべきなんです。その決心さえ出来ればペルーリーグはどんどん向上していくはずです。そうするうちにもスポルティング・クリスタルは成長し続け、最終的にはペルー最大のクラブの地位を確固たるものとするでしょう」



現在ペルー1部リーグのクラブでユースアカデミーを所有しているのは僅か4つしかありません
今年からペルーサッカー協会は19歳以下の選手を一定時間プレーさせなければならないという規定を制定しましたが、大半のクラブが対応出来ずに困っています



francois mujica
ペルーサッカー協会は混乱に陥っています。サッカー協会会長はペルー市民にあまりにも嫌われ過ぎていて代表戦にも参加出来ない程です。彼がペルー代表チームとリーグを崩壊させた張本人です。でもスポルティング・クリスタルはこの状況を改善させる為に協力していく決意を固めています。そしてより良い未来の為に全力を捧げていく所存です」



クラブ自身も様々な問題を抱えてはいますが、スポルティング・クリスタルには歴史があります
ペルーリーグが再びプライドを取り戻すには、スポルティング・クリスタルの活躍が必要です




スポルティング・クリスタル
http://www.sportingcristal.com/
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%AB



Roberto Carlos Palacios Mestas
http://en.wikipedia.org/wiki/Roberto_Palacios



Juan Carlos Oblitas
http://en.wikipedia.org/wiki/Juan_Carlos_Oblitas



Fernando Mellán
http://es.wikipedia.org/wiki/Fernando_Mell%C3%A1n


José Guillermo Del Solar
http://es.wikipedia.org/wiki/Jos%C3%A9_Del_Solar



Alberto Gallardo
http://es.wikipedia.org/wiki/Alberto_Gallardo


Sporting Tabaco
http://es.wikipedia.org/wiki/Sporting_Tabaco



Julio César de Andrade Moura
http://es.wikipedia.org/wiki/Julio_C%C3%A9sar_de_Andrade_Moura



Directiva del club
http://www.clubsportingcristal.com/paginas/directiva.html



Universitario de Deportes
http://en.wikipedia.org/wiki/Universitario_de_Deportes



Alianza Lima
http://en.wikipedia.org/wiki/Alianza_Lima



Primera División Peruana
http://en.wikipedia.org/wiki/Primera_Divisi%C3%B3n_Peruana



Club Sportivo Cienciano
http://en.wikipedia.org/wiki/Cienciano_del_Cuzco




FUTBOL MUNDIAL #717●特集1:レイモンド・マンコ
http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20071009



FUTBOL MUNDIAL #660●特集2:ジェファーソン・ファルファン

http://d.hatena.ne.jp/condeuma/20060910

*1:テネリフェバレンシアではプレーしてたみたいだがレアルマドリードとは書いてないんだよなぁ

*2:Francisco Mujica Serelle クラブオフィシャルの表記はフランシスコだから、まあこっちが正しいんだろうな